カテゴリー
-
最近の投稿
アーカイブ
投稿日カレンダー

皆様こんにちは。
奈良市富雄の行政書士 松岡です。
今回は、高齢の単身世帯で増えている「ペットとの暮らし」を支える制度、
ペット信託についてお話しします。
⚫︎増える高齢者のペット飼育
高齢の「おひとりさま」でも犬や猫と暮らす人が増えています。
背景には、医療やフードの進化によってペットの寿命が延びていることもあり、
飼い主の健康や万一のときに備えることが課題となっています。
⚫︎ペットの将来を守るために
これまで飼い主が亡くなった場合、親族や知人に飼育をお願いする「遺贈」や
「死因贈与」といった方法が使われてきましたが、
実際には次のような不安があります。
•ペットの世話をちゃんとしてもらえるか不明
•飼い主の生前の体調悪化に対応できない
•遺贈の放棄などで計画通りにいかない可能性も
こうした問題を補う手段として登場したのが「ペット信託」です。
【ペット信託とは?】
ペット信託とは、飼い主が亡くなったり、病気や高齢でペットの世話が
できなくなった場合に備え、信頼できる人にペットの飼育を託すための制度です。
具体的には、ペットの飼育費用を信託財産として預け、受託者がその費用を使って
ペットの世話を継続できるようにします。
ペット信託は、飼い主が信頼できる人にペットと飼育費を預け、亡くなった後も
確実に面倒を見てもらうための仕組みです。
主な特徴は次の通りです:
•ペットと一緒に飼育費用も信託財産として管理
•飼い主が自分の意志で世話をする人や団体を選べる
•ペットの性格・食事・健康状態などの情報を残しておける
もともとはアメリカで発展した制度で、州によっては裁判所が監督する仕組みも
あります。
⚫︎日本での課題と可能性
日本ではまだペット信託の認知度は高くなく、信託に対応できる専門家や金融機関も
限られています。
また、1匹あたりの信託金額が比較的少額(200万円前後)で信託報酬が少ないことから、
積極的に取り組まれにくい傾向にあるようです。
しかし、高齢者のペット飼育が今後さらに増えていくと考えられる中で、
ペット信託のニーズは今後高まっていくと思われます。
⚫︎ペット信託におけるトラブルと対策
1. 受託者の選定が重要:
信頼できる受託者を選ばないと、ペットの世話が適切に行われない可能性があります。
2. 信託契約の内容が不明確
契約には飼育方法や費用、トラブル時の対応などを
具体的に記載しておくようにしなければなりません。
3. 費用面の負担
一括での準備が必要なため、事前の費用見積もりと無理のない設定が
大切です。
4. 相続人とのトラブル
遺留分への配慮や、事前の説明・合意形成も円満な信託運用には欠かせません。
信託を検討する際のポイント
•信頼できる人・施設の選定
• 必要な資金の確保と費用設計
• ペットの詳細情報の記録
•定期的な契約の見直し
• 専門家への相談
「自分にもしものことがあったらどうしよう」という不安を、元気なうちから備えることで
安心に変えられます。情報の収集と選別が大切ですね。