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1億円の壁問題

皆様こんにちは。

奈良市富雄の行政書士 松岡です。

政府・与党は、「1億円の壁」の是正に向け、

超富裕層への課税を強化する

「ミニマムタックス(極めて高い水準の所得者への課税)」

の見直しを進めています。

2027年分の所得から、

対象範囲の拡大と税負担の引き上げが行われる方向です。

日本の所得税は本来、所得が高いほど税率が上がる累進課税です。

住民税を含めると最高税率は約55%になります。

しかし、株式譲渡益や配当などの「金融所得」は、

一律約20%課税です。

そのため、給与所得が中心の人は高い税率になる一方、

株式売却益などの割合が大きい超富裕層は、

所得が1億円を超える頃から逆に

税負担率が下がる現象が起きています。

これが「1億円の壁」と呼ばれる問題です。

この不公平感を是正するため導入されたのが

「ミニマムタックス」です。

2025年分所得から、合計所得が3.3億円を超える超富裕層に対して、

最低でも22.5%の税負担が発生する仕組みが導入されています。

政府・与党は2027年以降、対象を「1.65億円超」に拡大し

最低負担率を30%へ引き上げする方向で調整しています。

この制度は「公平な税負担」を重視する一方で、

次のような経済への影響を懸念する声もあります。

1.起業意欲や投資意欲を削ぐ可能性

特に影響を受けるのは、スタートアップ創業者や投資家です。

起業家は、会社を成長させた後に株式売却(M&Aや上場)によって

大きな利益を得るケースが多いため、

金融所得課税の影響を受けやすい特徴があります。

ベンチャーキャピタル(VC)の業界団体調査では、

97%の起業家が今回の強化に反対したとも報じられています。

「成功時のリターンが減るなら、日本で挑戦する魅力が下がる」

という声は少なくありません。

2.富裕層・資産の海外流出

シンガポールやドバイなど、金融所得課税が軽い国への

移住も懸念されています。

例えば、

・シンガポール: キャピタルゲイン課税なし

・UAE(ドバイ):個人所得税なし

という違いがあります。

特に、数十億円規模の株式売却益が発生する場合、

税率差が人生を左右するくらいの規模の資産差になるため、

海外移住を検討する動きが強まる可能性があります。

3.二重課税との指摘

企業段階ですでに法人税を負担しているうえ、

株主個人にもさらに重い課税を行うため、

「実質的な二重課税ではないか」という指摘もあります。

4.制度が非常に複雑

総合課税・分離課税・金融所得などが絡むため計算が難しく、

税理士など専門家の関与が前提になりやすい制度でもあります。

もちろん、「超富裕層ほど税負担率が下がるのは不公平」

という考えにも一定の理解があります。

一方で、

日本政府は現在、「スタートアップ育成5か年計画」などを掲げ、

起業や投資を増やそうとしている最中です。

だからこそ、

富の偏在是正

税の公平性

起業・投資の促進

国内資本の維持

をどう両立させるかが、大きなテーマになっています。

「公平な課税」を進めながら、

挑戦する人材や資金が海外へ流出しない仕組みづくりが、

今後ますます重要になりそうです。