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日別アーカイブ: 2026年2月6日

外国人ドライバーの受け入れを困難にする壁

皆様こんにちは。

奈良市富雄の行政書士 松岡です。

深刻な人手不足が続く運送業界で、

期待を集めてきたのが特定技能制度による外国人ドライバーの受け入れです。

制度自体は2024年に整備され、

トラック・バス・タクシー分野で外国人材の就労が可能になりました。

しかし現場では、「制度はできたが、使いこなせない」

という声が多く聞かれます。

特に中小の運送会社は、3つの大きな壁に直面しています。

壁1 免許切り替え要件の厳格化という高いハードル

外国人が特定技能ドライバーとして働くには、

日本語能力試験・技能評価試験の合格

日本の運転免許の取得

が必要です。多くの外国人は、

母国の免許を日本の免許に切り替える「外免切り替え」を利用します。

ところが国は2025年10月、

外免切り替え試験の運用を厳格化しました。

切り替えで免許を取得した外国人による事故増加などが背景にあります。

この結果、想定よりも免許取得までに時間がかかるケースが増えました。

特定技能人材は入国と同時に雇用契約を結ぶ仕組みです。

免許取得前は、実質的に任せられる仕事がほとんどありません。

給与、社宅・生活支援費、研修費

といったコストだけが先行し、

免許が取れなければ帰国というリスクも抱えることになります。

壁2 就労期間「最長5年」で採算が合わない

運送業が該当するのは「特定技能1号」で、

在留期間は原則最長5年です。

免許取得までに時間とコストがかかる中、

「育成が軌道に乗った頃には在留期限が近づく」

「転職が可能なため、他社へ移るリスクもある」

という構造的な問題があります。

中小企業にとっては、

採用コストを回収できるかどうかが見えにくい制度となっており、

導入をためらう要因になっています。

壁3 日本語要件の高さと人材の奪い合い

特にバス・タクシー分野では、日本語要件が高く設定されており、

日本語能力試験「N3」(上から3番目)の合格が必須となっています。

利用者対応や緊急時対応を考えれば理解できる基準ですが、

日本語がネックとなり、応募者が集まりにくいのが現状です。

さらに

大手事業者との人材獲得競争 や

「長時間労働」「強盗などの危険がある」といったイメージも重なり、

外国人にとって魅力的な職場として認識されにくくなっています。

日本バス協会は、日本語要件を「N4」へ緩和するよう要望しており、

国も現在、要件見直しの検討を始めています。

特定技能ドライバーの受け入れは、2024年12月にスタートしました。

しかし、2025年11月時点の登録者数は106人にとどまっています。

警察庁は2025年3月、

特定技能ドライバーとして入国した外国人について、

外免切り替え申請を優先的に受理するよう

都道府県警に指示しました。

それでも現場からは

「待ち時間が読めない」「事業計画が立てられない」

という声が後を絶ちません。

外国人ドライバーは、人手不足が深刻な運送業界にとって

有力な選択肢です。

ただし現状では、免許取得の難しさや在留期間の短さ、

日本語要件といった課題が重なり、

特に中小事業者にとっては導入のハードルが高い制度になっています。

制度が「ある」だけでなく、

現場で実際に使える仕組みへと改善できるかどうかが、

今後の人手不足対策のカギになりそうです。