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日別アーカイブ: 2026年4月16日

進む医師の地域偏在の現実

皆様こんにちは。

奈良市富雄の行政書士 松岡です。

最近、「医師不足」という言葉をよく耳にしますが、

実は日本全体で見ると医師の数は増えています。

2024年時点で医師数は約34万7千人。

20年前と比べて約7万人増え、約1.3倍になりました。

さらに、日本は人口減少に転じているため、

国民1人あたりの医師数は他の先進国と

肩を並べる水準になっています。

それでもなぜ「医師不足」が問題になるのでしょうか?

以前、診療科の偏在問題についてふれましたが

それとともに大きな課題として、

医師が大都市に集中してしまう「地域偏在」の問題があります。

医師は自分で働く場所や診療科を選べるため、

どうしても生活環境や待遇の良い都市部に

集まりやすくなります。

その結果、地方では

・医師が少ない

・診療科が偏る

といった問題が続いています。

これまで国は、いくつかの方法でこの問題に

対応してきました。

1972年に地方の医師不足対策で都道府県が共同で設立した、

自治医科大学は学費免除の代わりに

計9年間のへき地勤務を課します。

2000年代に入って設けた入学定員の「地域枠」も

卒業した県内の勤務を義務付けています。

また、大学病院が

勤務医を地方に派遣する医局人事もあります。

しかし、2004年の臨床研修制度の変更により、

大学病院以外での研修が増え、

医局による人材調整の力は弱まっています。

こうした中で期待されているのが、オンライン診療です。

日本経済新聞と日経メディカルオンラインの調査では、

医師の51%が格差解消に期待と回答しています。

オンライン診療が広がれば、

地方でも専門医の診察を受けやすくなり、

地域差の緩和につながる可能性があります。

ただし現状では、医療機関側の導入はまだ慎重で、

普及は思ったほど進んでいません。

調査ではこんな意見も出ています。

・オンライン診療の報酬を上げてほしい

・制度面の後押しが必要

また、偏在対策として

約4割の医師が「開業規制が必要」と回答しています。

特に勤務医からは、都市部での開業が増えることで

現場の負担がさらに増えるという懸念もあります。

これからは医師をどう配置するか、

どう活用するかが重要になります。

そのためには

・地域枠の拡充

・一定期間の地方勤務の仕組み

・オンライン診療の普及促進

・報酬制度の見直し

といった複合的な対策が求められます。

医師の数は増えているのに、

「どこでも同じ医療を受けられる」状態にはなっていません。

地域による医療格差は、私たち全員に関わる問題です。

オンライン診療など新しい仕組みをうまく活用しながら、

必要な場所に必要な医療を届ける社会に近づけるかどうかが、

これからの大きな課題と言えそうです。