
皆様こんにちは。
奈良市富雄の行政書士 松岡です。
「大学全入時代」という言葉を耳にする機会が増えました。
少子化によって大学進学を希望する若者の数が減り、
私立大学では定員割れとなる大学も少なくありません。
ところが、こうした状況とは反対に、
大学受験で浪人する学生が再び増え始めています。
2026年度入学者向けの大学入学共通テストでは、
既卒生の受験者が7万1,310人となり、
旧センター試験時代を含めて7年ぶりに増加しました。
特に2浪生の増加が目立っています。
なぜ、大学に入りやすくなっているように見える時代に、
浪人生が増えているのでしょうか。
推薦・総合型選抜の拡大で一般入試が変わっている
大きな要因の一つが、大学入試そのものの変化です。
近年は、学校推薦型選抜や総合型選抜を利用して
入学する学生が増えています。
こうした入試では、学力試験の一発勝負だけではなく、
学校での活動、面接、志望理由などを含めて評価されます。
一方で、一般選抜で募集される枠は相対的に小さくなっています。
そのため、一般選抜を中心に受験する生徒にとっては、
「大学全体の定員に余裕があるから入りやすい」
とは必ずしも言えません。
特に人気大学や難関大学では、限られた一般選抜の枠をめぐって
競争が続いています。
「滑り止め」も簡単ではなくなっている
これまでの大学受験では、第一志望、実力相応校、滑り止めというように、
複数の大学を受験して合格する可能性を高める方法が一般的でした。
しかし、一般選抜の募集枠が縮小すれば、
いわゆる「滑り止め」の大学であっても、
必ずしも安心できません。
大学全体では定員割れが起きていても、
受験生から人気のある大学や学部には志願者が集まります。
つまり、「大学ならどこでもいい」という場合には
選択肢が広がっていても、
「この大学、この学部に入りたい」という受験生にとっては、
むしろ競争が厳しくなっている面があります。
「浪人してでも挑戦したい」という動きも
今回の浪人生増加には、単純な入試制度の変化だけではなく、
難関大学を目指す受験生の意識も関係しています。
現役時代にわずかな差で不合格となった場合、
「もう一度挑戦したい」と考えて浪人を選ぶケースがあります。
特に、大学名や学部によって
将来の進路や就職先が変わると考える家庭では、
1年間を受験勉強に充てるという選択もあります。
一方で、浪人には予備校費用や受験料、生活費などの
経済的負担も伴います。
受験期間が長くなれば、それだけ家庭の負担も大きくなります。
「大学全入」と「希望する大学に入れる」は別の話
今回の動きから見えてくるのは、
「大学全入時代」という言葉だけでは、
現在の大学受験の実態を十分に説明できないということです。
少子化によって大学の定員そのものは余りやすくなっています。
しかし、大学・学部によって人気には大きな差があり、
入試方式も変化しています。
その結果、
「大学には入りやすくなったが、希望する大学には入りにくい」
という状況が生まれる可能性があります。
これは大学側にとっても大きな変化です。
学生を確保するために推薦・総合型選抜を拡大する大学がある一方、
受験生から選ばれるためには、
教育内容や就職実績、大学のブランド力なども問われます。
少子化は単純に「大学が余る」という問題ではなく、
大学そのものの選別が進む時代への変化ともいえるでしょう。
これからの大学選びに必要なこと
これから大学を選ぶ際には、「偏差値」だけではなく、
入試方式、募集人数、就職実績、学費、通学環境などを
含めて考えることがより重要になりそうです。
また、推薦・総合型選抜を利用するのか、
一般選抜で挑戦するのかによって、
準備する内容も大きく変わります。
「大学全入だから大丈夫」と考えるのではなく、
自分がどの大学・学部を目指すのか、
そしてどの入試方式で受験するのかを早い段階から考える必要があります。
少子化によって大学そのものは余る時代になっている一方で、
受験生にとっては「選ばれる大学」と「選ばれにくい大学」
の差が広がっています。
大学全入時代は、必ずしも「誰でも希望する大学に入れる時代」
という意味ではありません。
むしろ、大学の数が多いからこそ、
どの大学を選び、どのような進路につなげるのかを考えることが、
これまで以上に重要な時代になっているのかもしれません。