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日別アーカイブ: 2026年9月4日

「リモート技工」が示すこれからの働き方

皆様こんにちは。

奈良市富雄の行政書士 松岡です。

昨日は、歯科技工士の人手不足と高齢化について書きました。

歯科技工士を目指す人が減り、働く人の高齢化も進んでいます。

では、この人手不足に対して、

これからどのような対応が考えられるのでしょうか。

その一つとして注目したいのが、

「歯科技工士のリモートワーク」です。

実は、歯科技工のリモートワークは、

すでに制度上認められています。

2022年の歯科技工士法施行規則の改正によって、

CAD/CAM装置などを使った自宅等での

リモートワークが可能であることが明確にされました。

では、歯科技工士のリモートワークとは、

どのようなものなのでしょうか。

 

「自宅で入れ歯を作る」という話ではない

リモートワークというと、

自宅で入れ歯や被せ物を作る姿を想像するかもしれません。

しかし、そういうことではありません。

ポイントになるのは、歯科技工のデジタル化です。

これまでの歯科技工では、歯科医院で型を取り、

模型などの「物」を技工所に運び、

技工士がそれを見ながら製作するという流れがありました。

ところが、口腔内スキャナーなどのデジタル技術を使えば、

歯の状態をデータとして扱うことができます。

そうすると

「模型を運ぶ」のではなく「データを送る」

という仕事の流れが可能になります。

ここが、これまでの歯科技工と大きく違うところです。

 

「作る人」から「設計する人」へ

デジタル化が進むと、歯科技工の工程を分けて考えられるようになります。

例えば、コンピューター上で歯の形や咬み合わせなどを設計する「CAD」。

そして、その設計データをもとに機械で加工する「CAM」。

さらに、その後の仕上げや調整。

こうした工程をすべて一人が同じ場所で行う必要がなくなる可能性があります。

例えば、

歯科医院でデータを取得

技工士が遠隔で設計

別の場所で加工

仕上げ・調整

という仕事の流れです。

つまり、リモート技工で大きく変わるのは、

「働く場所」だけではありません。

歯科技工士の仕事そのものが変わる可能性があります。

 

これからは「手を動かす技術」だけではない

もちろん、歯科技工士にとって

手作業の技術が必要なくなるわけではありません。

しかし、デジタル技術が広がれば、

「どのような形にするのか」

「どのように咬み合わせるのか」

「見た目と機能をどう両立させるのか」

といった、設計や判断の重要性がさらに高まるかもしれません。

「技術を持って、ものを作る仕事」から、

「技術と知識を使って、最適な形を設計する仕事」へ

歯科技工士の仕事の中身そのものが

変わっていく可能性があります。

 

人手不足にも一つの答えになるかもしれない

この変化は、人手不足への対応という意味でも注目できます。

例えば、地方では歯科技工士が不足していても、

別の地域には技術を持った技工士がいるかもしれません。

データをやり取りできれば、

これまで距離の問題で仕事を頼みにくかった歯科医院と技工士が

つながる可能性があります。

また、育児や介護などによって一度仕事を離れた技工士にとっても、

仕事内容によっては、これまでとは違った働き方ができる可能性があります。

「毎日、技工所に通う」

という働き方だけではなくなることで、

働ける人を増やせるかもしれません。

ただ、機械を入れれば解決するわけではない

もちろん、デジタル化すればすべてが解決するわけではありません。

歯科医院側にも、データを正確に取得するための設備や技術が必要です。

技工士側にも、CADなどを使いこなす新しい技術が求められます。

さらに、医療に関わるデータを扱う以上、情報管理も重要になります。

「新しい機械を導入すれば人手不足が解消する」

という単純な話ではありません。

仕事の流れそのものを見直し、

歯科医院と技工所がどのように連携するのかを考える必要があります。

 

「人を増やす」だけではない人手不足対策

歯科技工士不足というと、どうしても

「若い人にもっとこの仕事を選んでもらう」

という方向に目が向きます。

もちろん、それは重要です。

しかし、それだけではありません。

今いる技工士が長く働けるようにする。

一度離職した技工士が戻りやすくする。

地域を越えて仕事ができるようにする。

そして、一人の技工士がより効率的に仕事ができるようにする。

デジタル化やリモートワークには、こうした可能性があります。

 

仕事が変われば、働き方も変わる

歯科技工士の問題を見ていると、単純な「人手不足」だけではないように感じます。

人が減っているからこそ、これまで一人の技工士がすべて担っていた仕事を分ける。

技術をデジタル化する。

場所に縛られない仕事を増やす。

そうすることで、「人を増やす」のではなく、

「人が働き続けられる仕事の形をつくる」という考え方も必要になってきます。

これは歯科技工士だけの話ではありません。

人手不足が深刻になるこれからの日本では、

さまざまな専門職で同じような変化が起きてくるのではないかと思います。

歯科技工士のリモートワークは、単なる「在宅勤務」の話ではありません。

模型や物を運ぶ仕事から、データを活用して設計する仕事へ。

その変化は、歯科技工士という職業だけでなく、

歯科医療の仕事の進め方そのものを変えていく可能性があります。

人手不足の時代に、私たちは「人を増やす」だけでなく、

「仕事のやり方を変える」ことも考えなければならないのかもしれません。