
皆様こんにちは。
奈良市富雄の行政書士 松岡です。
先日、スマートフォンからタクシーを呼べる
「タクシー配車アプリ」とドライバーについて取り上げました。
今回は、地域の移動手段として注目されている「ライドシェア」
とタクシーアプリの関わりについて考えてみます。
最近、「ライドシェア」という言葉を
ニュースで耳にする機会が増えました。
タクシー不足を解消する新しい移動手段として期待され、
日本でも2024年から「日本版ライドシェア」が始まっています。
タクシー配車アプリ、ライドシェアなど
よく耳にするものの、意味がよくわからないことって
結構ありませんか?
「GOなどのタクシーアプリとライドシェア、何が違うの?」
と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「配車アプリ」と「ライドシェア」は別のもの
まず、ここを整理しておきたいと思います。
「GO」のようなタクシーアプリは、
スマートフォンからタクシーなどを呼ぶための配車サービスです。
一方、日本版ライドシェアは、タクシーが不足している時間帯などに、
一般ドライバーと自家用車を活用して輸送力を補う制度です。
つまり、
配車アプリ=車を呼ぶ仕組み
日本版ライドシェア=車を運転する人や車両を増やす仕組み
と考えると分かりやすいでしょう。
しかも現在は、GOのアプリから
日本版ライドシェアの車両が配車されることがあります。
利用者から見ると、スマートフォンで
GOを開いて車を呼ぶだけなので、
普通のタクシーなのか、ライドシェアなのか分かりにくいこともあります。
GO自身も、日本版ライドシェアの運行開始に合わせ、
タクシーがつかまりにくい曜日や時間帯にライドシェア車両を
配車する対応を始めています。
では、日本版ライドシェアとは何なのか
日本版ライドシェアは、正式には
「自家用車活用事業」と呼ばれています。
目的は、タクシーが不足する地域や時間帯に、
一般のドライバーと自家用車を活用して
不足する輸送力を補うことです。
ここで重要なのが、海外のライドシェアとは
仕組みが異なることです。
日本版ライドシェアでは、
タクシー事業者が実施主体となり、
一般ドライバーの管理や運行管理を担います。
一般ドライバーは所定の研修などを受け、
自家用車を使って乗客を運びます。
運賃もタクシーと同水準とされています。
つまり、
「誰でも自由に乗客を乗せて営業できる」
という制度ではありません。
あくまで、タクシー会社を中心とした仕組みの中で、
一般ドライバーの力を借りてタクシー不足を補う制度なのです。
海外のUber型とは何が違うのか
海外では、Uberなどのプラットフォームを通じて、
一般ドライバーが乗客を運ぶ仕組みが広く普及しています。
これに対して日本では、
安全性や既存のタクシー事業への影響などを考慮し、
タクシー事業者の管理下でライドシェアを運行する形からスタートしました。
そのため、日本版ライドシェアは、
「タクシーに代わる新しい交通事業」
というより、
「タクシーを補完する仕組み」
という位置付けになっています。
この違いが、日本版ライドシェアの普及を考えるうえで非常に重要です。
タクシー不足を解消するはずが、なぜ広がりにくいのか
日本版ライドシェアが始まった背景には、
深刻なタクシー不足がありました。
特に、夜間や観光シーズン、イベント開催時などには、
タクシーがつかまりにくい問題がありました。
そこで、タクシーが足りない時間帯だけ一般ドライバーを活用する。
考え方としては非常に合理的です。
実際、国土交通省によると、日本版ライドシェアは制度開始後、
雨天時や酷暑時、イベント開催時、観光シーズンなどにも
活用範囲が広げられてきました。
しかし、ここで事業者側の問題が出てきます。
「コストに対する売り上げが見合わない」
日本版ライドシェアに積極的に取り組んできた事業者からは、
採算面を問題視する声も出ています。
タクシー事業者にとっては、一般ドライバーを集めれば
終わりではありません。
ドライバーの採用、教育、運行管理、車両の管理などが
必要になります。
一方で、日本版ライドシェアは
「タクシーが不足している時間帯」に対応する制度です。
つまり、いつでも自由に車を走らせて
売り上げを増やせるわけではありません。
そのため、事業者にとっては、
「タクシー不足を補う必要はある」
「しかし、管理や運営にはコストがかかる」
という難しい問題が生じます。
「配車アプリが普及すればライドシェアはいらない」のか
ここも誤解しやすいところです。
GOのような配車アプリが普及すれば、
タクシーを効率的に呼べるようになります。
しかし、アプリはあくまで「車を探して呼ぶ仕組み」です。
そもそも周辺にタクシーがいなければ、
アプリがあっても車は来ません。
そこで、ライドシェアの役割が出てきます。
例えば、
「アプリでタクシーを呼びたいけれど、車が足りない」
という状況で、
「それなら一般ドライバーの車両も活用して供給を増やそう」
というのが日本版ライドシェアです。
つまり、
配車アプリ=需要と車をつなぐ
ライドシェア=不足している車を増やす
という関係になります。
大都市と地方では事情も違う
もう一つ注目したいのが、地域による違いです。
大都市では、タクシーの供給が以前より回復してきた地域もあります。
一方、地方では人口減少やドライバー不足によって、
タクシーそのものを維持することが難しくなっている地域もあります。
そう考えると、日本版ライドシェアは全国一律に考えるより、
「どこで、いつ、どれだけ移動手段が不足しているのか」
を見ながら活用する必要があります。
国土交通省も、配車アプリのデータなどを利用して
タクシーの不足する地域・時期・時間帯を把握し、
不足分を供給する仕組みを採用しています。
日本版ライドシェアは今後どうなるのか
日本版ライドシェアは、
決して「始まったけれど全く使われていない制度」ではありません。
国土交通省の資料では、
2025年8月時点で許可された導入地域は141地域、
登録ドライバーは9,518人、運行回数は約96万回に達しています。
一方で、事業者からは採算性の問題も指摘されています。
今後の焦点は、単純に「全面解禁するかどうか」だけではないでしょう。
安全性を確保しながら、どこまで一般ドライバーを活用できるのか。
タクシー会社に過度な負担をかけず、事業として成立させることができるのか。
そして、人口減少が進む地方で、どうやって「移動の足」を維持するのか。
こうした問題を一つずつ考えていく必要があります。
タクシーアプリの普及とライドシェアの導入は、
別々の話に見えて、実は同じ問題につながっています。
それは、
「必要なときに、必要な場所へ、どうやって人を運ぶのか」
という問題です。
タクシー不足をきっかけに始まった日本版ライドシェアですが、
今後は地域交通の維持や観光客の移動手段など、
より幅広い分野でその役割が問われていくことになりそうです。
皆様こんにちは。
奈良市富雄の行政書士 松岡です。
日本のコンテンツといえば、
海外ではアニメやゲームを思い浮かべる人が多いかもしれません。
しかし最近は、ドラマや映画などの「実写コンテンツ」についても、
海外市場を意識した動きが強くなっています。
背景にあるのは、動画配信サービスの普及だけではありません。
日本政府もコンテンツ産業を成長分野の一つと位置づけ、
海外展開を後押ししています。
今回は、なぜ今、日本の実写コンテンツが海外を目指しているのか。
そして、それが地域や中小企業にとって
どのような意味を持つのかを考えてみます。
日本のコンテンツ海外売上は5.8兆円に
まず、日本のコンテンツ産業全体を見ると、
海外市場はすでにかなり大きくなっています。
経済産業省によると、日本発コンテンツの海外売上は
2023年に約5.8兆円となりました。
2022年の約4.7兆円から、1年間で23.2%増えています。
政府は、この海外売上を2033年までに20兆円へ
拡大する目標を掲げています。
もちろん、この中で大きな割合を占めているのは
アニメやゲームなどです。
そのため、
「日本の実写ドラマがすでに海外で大きく稼いでいる」
と考えるのは少し早いでしょう。
むしろ今は、
アニメやゲームで広がった日本のコンテンツ産業を、
映画やドラマなどにも広げていこうとしている段階と
見る方が実態に近そうです。
なぜ実写コンテンツなのか
実写の強みは、実際の日本の風景や街、人、食、文化などを
そのまま映像にできることです。
例えば、ドラマや映画を見て、
「この場所に行ってみたい」
「この店で食べてみたい」
「この地域を見てみたい」
と思う人が出てくれば、作品そのものだけでなく、
観光や地域のビジネスにもつながります。
政府の「新たなクールジャパン戦略」でも、
近年はアニメだけでなく、実写の映画やドラマも
海外でヒットしていることが取り上げられています。
また、コンテンツをきっかけに日本のファンを増やし、
観光や食など別の分野にもつなげていく考え方が示されています。
これは、大企業だけの話ではありません。
地方の中小企業にもチャンスがある?
例えば、地方で旅館を経営している会社を考えてみます。
これまでは、
「旅行サイトに掲載する」
「SNSで情報を発信する」
「観光客に来てもらう」
といった方法で集客するのが一般的でした。
そこに映画やドラマなどの映像作品が加わると、
地域そのものが情報発信の舞台になる可能性があります。
旅館だけではありません。
飲食店、土産物店、交通事業者、観光施設、製造業など、
地域にあるさまざまな事業者が影響を受ける可能性があります。
作品そのものを作るのは大きな企業でも、
その周辺には多くの中小企業が存在します。
コンテンツをきっかけに、人が動き、お金が地域に落ちる
と考えると、実写コンテンツの海外展開は、
単なる「映画やドラマの輸出」とは少し違って見えてきます。
動画配信で「海外に届ける」環境も変わった
もう一つ大きいのが、動画配信サービスの普及です。
以前は、日本のドラマが海外で見られるためには、
海外のテレビ局などに販売する必要がありました。
現在は動画配信サービスを通じて、
国境を越えて作品を届けやすくなっています。
もちろん、配信できれば必ず海外でヒットするわけではありません。
翻訳、宣伝、現地の文化への対応など、まだ課題はあります。
それでも、以前に比べれば、日本で作った作品を
海外の視聴者に届けるための環境は大きく変わったといえます。
経済産業省も、コンテンツ産業の海外展開に向けて、
海外での発信機会、制作拠点、人材、海外企業との連携など、
さまざまな課題への対応を進めています。
政府も「日本で作って世界へ」を後押し
政府の支援も強まっています。
経済産業省は、2033年までに
日本発コンテンツの海外売上を20兆円にする目標に向けて、
複数年にわたる支援や海外展開の促進を進めています。
2026年の支援事業では、実写映画の制作なども採択されています。
つまり、
「国内で作品を作って、まず日本で売る」
だけではなく、
「最初から海外市場も意識して作る」
という考え方が、政策面でも強くなっています。
地域の事業者にとっても無関係ではない
こうした話は、一見すると映画会社や動画配信会社の話に見えます。
しかし、地域の中小企業にとっても、全く関係のない話ではありません。
地域の観光、飲食、宿泊、交通、土産品、伝統産業などは、
日本を訪れる人が増えれば需要が生まれます。
また、海外から直接商品を買ってもらうECなど、
地域にいながら海外の消費者とつながる方法も増えています。
すべての企業が海外進出する必要はありません。
むしろ、海外から日本を訪れる人が増えることで、
国内にいながら海外市場の恩恵を受ける企業も出てくる
と考えた方が分かりやすいでしょう。
これからどうなるのか
日本のコンテンツ産業は、すでに大きな海外市場を持っています。
ただし、その中心はまだアニメやゲームなどです。
政府が目指す2033年20兆円という目標も、
簡単に達成できるものではありません。
経済産業省自身も、海外展開の機会、人材、制作環境、海外との連携など、
複数の課題を挙げています。
その中で、今後注目されるのが実写の映画やドラマです。
日本の風景、食、文化、街並みなどを
映像を通して海外に届けることで、作品だけでなく、
その周辺にある観光や商品、地域ビジネスにも波及する可能性があります。
「アニメが海外で人気だから、次は実写も」という単純な話ではありません。
日本のコンテンツを海外に届け、そこから人やお金を日本に呼び込む。
そうした流れが今後どこまで広がるのか。
映画やドラマを見るときも、作品そのものだけでなく、
「この作品が地域や企業にどんな影響を与えるのか」
という視点で見ると、
少し違った面白さが見えてくるかもしれません。
皆様こんにちは。
奈良市富雄の行政書士 松岡です。
以前のブログでは、近年広がっている「ぬい活」を背景に、
ぬいぐるみのクリーニングや修繕を手掛ける中小企業に
新たなビジネスチャンスが生まれていることを紹介しました。
「ぬい活」とは、お気に入りのキャラクターや
アイドルなどのぬいぐるみを持ち歩き、
一緒に写真を撮ったり、旅行に連れて行ったりする活動のことです。
今回はその続編として、ぬい活がどのように広がっているのか、
そこからどんなビジネスが生まれているのか、
そして一方でどのようなトラブルが考えられるのかを見ていきます。
1.「ぬい活」は若者だけのものではない
ぬい活は、もともとZ世代など
若い世代の「推し活」の一つとして注目されました。
しかし現在では、必ずしも若者だけの文化とは言えません。
お気に入りのぬいぐるみを日常生活の中で楽しんだり、
旅行に連れて行ったりするなど、
年齢を問わずさまざまな楽しみ方が広がっています。
例えば、
・お気に入りのぬいぐるみと一緒に出かける
・旅行先で写真を撮る「ぬい旅」を楽しむ
・ぬいぐるみに洋服やアクセサリーを着せる
・自宅でぬいぐるみを飾って楽しむ
など、その楽しみ方は多様です。
ここで重要なのは、単に「ぬいぐるみを買う」という消費から、
ぬいぐるみと一緒に過ごす時間や
体験を楽しむ消費へ広がっていることです。
2.「ぬいぐるみ」から新しいビジネスが生まれる
こうした文化の広がりは、
さまざまな商品やサービスにつながっています。
例えば、ぬいぐるみ専用の洋服や帽子、アクセサリーなどです。
既製品だけでなく、
好きなキャラクターやアイドルをイメージした衣装などを
オーダーメイドで制作するサービスも考えられます。
また、外出するときにぬいぐるみを持ち運ぶための専用バッグやケース、
撮影時にぬいぐるみを立たせるためのスタンドなど、
周辺商品も広がっています。
さらに、旅行や観光との組み合わせもあります。
ぬいぐるみと一緒に楽しめる撮影スポットを用意したり、
ぬいぐるみを主役にした写真撮影を楽しんだりするなど、
「モノ」だけではなく「体験」を提供するビジネスも
考えられます。
前回紹介したクリーニングや修繕も、その一つです。
大切にしているぬいぐるみだからこそ、
「汚れてしまったけれど捨てたくない」
「壊れてしまったので直したい」
「これからも長く大切にしたい」
という需要が生まれます。
これは、ぬい活が単なる一時的な流行ではなく、
関連するサービスや市場を生み出す可能性があることを示しています。
3.市場が広がる一方で、トラブルも
新しい市場が生まれると、そこには新しい問題も生まれます。
代表的なのが、限定商品などを狙った転売です。
人気のぬいぐるみが買い占められ、
フリマアプリなどで高額で販売されるケースでは、
欲しい人が正規の価格で購入できないという問題につながります。
また、キャラクターなどを無断で利用した商品については、
著作権や商標権などの問題が関係する場合があります。
「自分で作ったものだから自由に販売できる」とは限りません。
特に、人気キャラクターを利用した商品を制作・販売する場合には、
権利関係を確認する必要があります。
さらに、SNSへの写真投稿にも注意が必要です。
観光地や飲食店などで撮影する際には、
周囲のお客さんや施設のルールにも配慮しなければなりません。
「ぬいぐるみを撮影しているだけ」と思っていても、
他人の顔が写り込んだり、撮影禁止の場所で撮影したりすれば、
トラブルにつながる可能性があります。
4.新しい文化は、新しいビジネスとルールを生み出す
「ぬい活」は、一見するとかわいらしい趣味の一つに見えます。
しかし、その背景では、洋服やバッグ、クリーニング、修繕、撮影、旅行など
さまざまな商品やサービスが生まれています。
つまり、消費者の「好き」や「楽しみ方」の変化が、
新しいビジネスにつながっているのです。
一方で、市場が大きくなれば、転売や知的財産、SNSでの写真利用など、
これまでとは違ったルールやトラブルも出てきます。
新しい文化が広がるとき、そこには必ず新しいビジネスチャンスがあります。
そして同時に、そのビジネスを適切に行うためのルールを
理解することも重要になります。
「ぬい活」は、趣味の世界にとどまらず、
消費者の価値観の変化が新しい市場を生み出していく
一つの例なのかもしれません。
皆様こんにちは。
奈良市富雄の行政書士 松岡です。
地方では、人口減少や高齢化、人手不足、空き店舗の増加など、
さまざまな地域課題が生まれています。
一方で、こうした「地域の困りごと」をビジネスの機会として捉え、
新しい事業を始める動きも広がっています。
最近では、自治体や金融機関などが地域の事業者を支えながら、
地域資源を活用した新しいビジネスを
育てていく取り組みが注目されています。
その代表的な制度の一つが、
総務省の「ローカル10,000プロジェクト」です。
地域資源や地域課題を新しい事業につなげる
ローカル10,000プロジェクトは、
地域資源の活用や地域課題の解決につながる新たな事業の立ち上げを
自治体や金融機関などと連携して支援する取り組みです。
対象となるのは、地域の特産品を活用した事業だけではありません。
例えば、空き店舗を活用した新しいサービス、
地域住民の買い物や移動を支える事業、
高齢者や子育て世代を支援するサービスなど、
地域が抱える課題をビジネスによって解決する取り組みも考えられます。
こうした事業では、「地域にあるもの」を活用することと、
「地域で困っていること」を解決することが、
事業の価値につながっていきます。
最大5,500万円の支援。特徴は「地域との連携」
ローカル10,000プロジェクトの特徴は、
単に事業者へ補助金を交付するという仕組みではないことです。
施設整備や機械装置など、新しい事業を始めるための初期投資を支援し、
基本的な助成上限額は3,000万円。
さらに、地域金融機関からの融資など一定の条件を満たす場合には、
最大5,500万円まで支援額が拡大します。
そのため、自治体、事業者、金融機関などが一緒になって、
地域の中で事業を育てていくことが重要になります。
制度の利用には、
・地域資源を活用すること
・地域課題の解決や雇用創出につながること
・地域金融機関から融資・出資などを受けること
・新しい取り組みであること
・他地域への波及が期待できること
といった要件があります。
また、申請主体は事業者自身ではなく自治体となるため、
アイデアの段階から自治体や金融機関などに相談しながら
進めていくことが重要です。
「補助金があるから始める」ではない
こうした制度を見ていると、地域で新しい事業を始める際に大切なのは、
単に「どんな補助金が使えるか」を探すことだけではないと感じます。
そもそも事業を始める本人にとって、
「なぜこの事業をするのか」
「誰に必要とされるのか」
「どうやって売上をつくるのか」
「どうすれば長く続けられるのか」
といったことを考えるのは当然のことです。
そこに加えて、
「この事業によって地域にどのような価値を生み出せるのか」
という視点を持つことが、これからの地域ビジネスでは
より重要になっていくのではないかと思われます。
例えば、地域の空き店舗を活用して新しい店舗を開く場合でも、
単に「店舗を開く」というだけではありません。
地域に新しい雇用が生まれ、地元の事業者から商品やサービスを仕入れ、
住民が集まる場所ができる。
その結果として、地域の中で新しい経済の循環が生まれる。
このように、一つの事業が地域の中で
どのような役割を果たすのかまで考えることで、
事業の意味がより明確になります。
事業者の思いを「事業計画」にする
そして、こうした考えを自治体や金融機関などにも
伝えていくために重要になるのが、事業計画です。
事業者の頭の中には、
「この地域にはこんな問題がある」
「自分ならこう解決できる」
「こうすればお客様に利用してもらえる」
「将来的にはこういう事業にしたい」
という思いがあっても、それだけでは第三者には
伝わりにくい場合があります。
それを、地域の現状、顧客ニーズ、事業内容、収益の仕組み、
必要な投資、今後の展開などに整理していく。
そうすることで、単なる「アイデア」が、
具体的な「事業計画」になっていきます。
補助金や融資を受けるためだけではなく、
自分自身の事業を見つめ直し、
何を目指していくのかを整理するためにも、事業計画は意味があります。
地域の未来をつくるのは「地域の中の事業者」
人口減少や高齢化というと、
どうしても行政による支援策の話になりがちです。
しかし、地域の中で実際にサービスを提供し、雇用を生み、
地域のお金を循環させるのは、そこにいる事業者です。
地域の課題を「困ったこと」で終わらせるのではなく、
「新しい事業を生み出すきっかけ」として捉える。
そして、事業者自身が考えたアイデアを事業として形にし、
それを自治体や金融機関などが支えていく。
ローカル10,000プロジェクトは、
こうした地域と事業者の新しい関係を考える上でも、
興味深い取り組みだと思います。
当事務所でも、これから事業を始めようとする方のサポートを
大切な仕事の一つだと考えております。
地域にある「困りごと」が、新しいビジネスになる。
これからは、そんな地域発の事業が、
地方の未来を支える一つの力になっていくのかもしれません。
皆様こんにちは。
奈良市富雄の行政書士 松岡です。
最近、介護業界で「スポットワーク」と呼ばれる働き方が広がっています。
スマートフォンのアプリなどを通じて、
必要な時間だけ働く「スキマバイト」を、
介護施設が人手不足を補う手段として活用するケースが増えています。
慢性的な人手不足に悩む介護現場にとっては、
新たな人材確保の手段として期待される一方、
介護特有の安全性やケアの質をどう確保するかという課題もあります。
なぜ介護業界でスポットワークが広がっているのか
大きな背景にあるのが、介護業界の人手不足です。
従来の求人だけでは必要な人数を確保できず、
急な欠勤が出た場合には、現場の職員が勤務を延長したり、
別の職員が穴を埋めたりすることもあります。
こうした中、タイミーなどのスポットワークサービスや、
介護分野に特化したマッチングサービスが登場し、
必要な時間だけ人材を確保しやすくなりました。
また、介護の資格や経験があっても、
家庭の事情などからフルタイムや固定シフトでは働けない人もいます。
「週に何日も働くのは難しいけれど、数時間なら働ける」
こうした人材と介護事業者をつなぐ手段としても、
スポットワークが注目されています。
介護事業者にとってのメリット
スポットワークには、介護事業者側にもさまざまなメリットがあります。
・急な欠員に対応できる
当日の欠勤など、急に人手が足りなくなった場合でも、
必要な時間だけ人材を確保できる可能性があります。
・周辺業務を任せられる
清掃、配膳、洗濯など、資格や経験を必要としない業務を
スポットワーカーに任せることで、
資格を持つ職員が本来の介護業務に集中しやすくなります。
・新たな採用につながる可能性がある
実際に働いてもらうことで、事業者とワーカーの双方が
仕事との相性を確認できます。
その結果、スポットワークから
継続的な雇用につながるケースも考えられます。
働く側にもメリット
ワーカーにとっても、働く時間を自分で選びやすいことは
大きなメリットです。
子育てや家族の事情などで固定シフトが難しい人でも、
空いている時間を利用して働くことができます。
また、介護の仕事に興味があっても、
いきなりフルタイムで働くことに不安を感じる人にとっては、
業界を知るきっかけになる可能性があります。
特に、介護資格を持ちながら現場を離れている
「潜在的な介護人材」にとって、
新たな復職の入り口になることも期待されます。
一方で、介護ならではの課題も
便利な仕組みである一方、介護現場では
一般的なスキマバイトとは異なる難しさがあります。
・ケアの質と安全性
介護では、利用者一人ひとりの身体状況や生活習慣、
認知症の有無などを理解したうえで対応する必要があります。
そのため、初めて勤務する人に、
どこまでの業務を任せるのかは慎重に判断しなければなりません。
特に、食事介助や入浴介助など、利用者の安全に直接関わる業務については、
資格や経験だけでなく、施設側の教育・指示体制も重要になります。
・教育や指示の負担
毎回違う人が勤務する場合、施設のルールや仕事の流れを
その都度説明する必要があります。
人手不足を解消するために導入したはずが、
既存職員の教育負担が増えてしまう可能性もあります。
・利用者との関係づくり
介護では、利用者との信頼関係も重要です。
特に認知症の利用者の場合、普段と違う職員が突然対応することで、
不安や混乱につながる可能性もあります。
そのため、「人が来ればそれで解決」というわけではありません。
スポットワークは介護の人手不足を変えるのか
スポットワークは、介護業界の人手不足を解決する一つの手段になりつつあります。
ただし、すべての業務をスポットワーカーに任せるという考え方ではなく、
「どの業務を任せるのか」
「どのような経験・資格が必要なのか」
「誰が指示・確認するのか」
といった仕組みを施設側が整えることが重要です。
また、スポットワークを単なる「欠員の穴埋め」と考えるのではなく、
介護の仕事を知ってもらい、
将来的な採用につなげる入り口として活用する考え方もできるでしょう。
人手不足が続く中、
介護業界では「人を集める方法」そのものが変わり始めています。
今後は、スポットワークのような新しい働き方を取り入れながら、
介護の質と安全性をどう両立させるかが、
介護事業者にとって重要なテーマになりそうです。
介護事業者が新しい人材確保の仕組みを導入する際には、
単に人手を確保するだけでなく、資格や業務内容、
施設の運営体制などを含めて考えることが必要になります。
介護業界の人手不足を背景に、
こうした「働き方の変化」が今後どこまで広がるのか、
注目したいところです。
皆様こんにちは。
奈良市富雄の行政書士 松岡です。
台風が近づいてくると、
「なんとなく頭が痛い」
「肩が重い」
「体がだるい」と感じることはないでしょうか。
こうした天気の変化に伴う体調不良は、
単なる気のせいではなく、「天気痛」や「気象病」と
呼ばれることがあります。
天気痛は、気圧や気温、湿度などの変化が
体に影響することで起こると考えられており、
頭痛やめまい、肩こり、倦怠感など、
さまざまな症状が現れることがあります。
特に台風が接近すると、
短時間で気圧が大きく変化するため、
普段からこうした症状を感じている人にとっては、
つらい時期になることがあります。
なぜ天気の変化で体調が変わるのか
その原因の一つとして考えられているのが、
耳の奥にある「内耳」です。
内耳は体のバランスを保つ働きに関係する器官ですが、
気圧の変化を感じ取るセンサーのような役割もあると
考えられています。
急激な気圧変化を感じることで、
自律神経などに影響が及び、
頭痛やめまい、だるさなどにつながるとされています。
ただし、天気痛の仕組みについては、
まだすべてが解明されているわけではありません。
天気痛、どう対処すればいい?
では、天気痛が起きたときは、どうすればよいのでしょうか。
まず大切なのは、
「天気が悪くなると体調が崩れやすい」
と自分の傾向を知っておくことです。
例えば、気圧の変化を予測できる天気予報や「天気痛予報」などを確認し、
症状が出やすい日には無理をしないようにするだけでも、
体調管理につながります。
また、次のような方法もあります。
*睡眠時間を十分に確保する
*朝食を抜かず、規則正しい生活を心がける
*入浴などで体を温める
*肩や首を軽く動かして血行を促す
*耳を軽く引っ張ったり、回したりして刺激する
*必要に応じて市販の鎮痛薬を利用する
特に「耳を引っ張る」という方法は、
天気痛への対策として紹介されることがあります。
両耳を軽くつまみ、上下や横にゆっくり引っ張ったり、
耳全体を軽く回したりする方法です。
ただし、これらはあくまで症状を和らげるための対処法です。
天気痛にはさまざまな症状があり、
頭痛やめまいなどが強く出る場合や、頻繁に生活に支障が出る場合には、
単なる天気のせいと決めつけず、医療機関に相談することも大切です。
「雨が近づくと頭が痛くなる」
「台風が来ると体がだるい」
という経験がある方は、一度、天気と体調の変化を
記録してみるのもよいかもしれません。
天気を変えることはできませんが、
天気によって体調が変化することを知っておけば、
早めに休むなどの対策はできます。
台風が多くなるこれからの時期、
自分の体調と天気との関係を知ることも
一つの体調管理になりそうです。
皆様こんにちは。
奈良市富雄の行政書士 松岡です。
奈良を歩いていると、外国人観光客の多さに驚くことがあります。
その中でも、多く見かけるのがフランス人観光客です。
実際、奈良県の外国人延べ宿泊者を見ると、
2024年のフランス人の割合は5.5%。
中国、アメリカ、韓国などに続く上位の国の一つとなっています。
奈良市でも、2023年の外国人宿泊者に占めるフランス人の割合は6.6%で、
国別では上位に位置しています。
なぜ、フランス人は奈良に惹かれるのでしょうか。
その理由の一つは、奈良が単なる「観光地」ではなく、
日本の歴史や宗教、美術を感じることができる場所だからではないかと
予想されます。
奈良には、法隆寺、東大寺、興福寺、薬師寺、唐招提寺など、
長い歴史を持つ寺院が数多く残っています。
そこにある仏像や建築、庭園は、単に「見る観光」だけではなく、
日本人がどのような価値観の中で文化を育ててきたのかを
感じさせてくれます。
そして、奈良に惹かれてきたフランス人は、
決して最近始まったものではありません。
フランスの文学者・外交官であるポール・クローデルは
日本文化に深い関心を持ち、奈良にも強い関心を寄せました。
また、作家・思想家のアンドレ・マルローも
日本文化に強い関心を持った人物です。
マルローの日本理解には、
駐日フランス大使を務めたクローデルらから得た影響も指摘されています。
こうした文化人が
日本の文化や美術をフランスに紹介してきた歴史を考えると、
フランス人にとって奈良は
「日本を代表する古都の一つ」というだけではなく、
日本文化そのものに触れる場所
として受け止められてきたのかもしれません。
ここで、奈良の観光について少し考えてみたいと思います。
もちろん、奈良を訪れる観光客が増えることは、
地域経済にとって大きな意味があります。
宿泊、飲食、交通、買い物、文化施設など、
観光客が増えることで恩恵を受ける事業者も増えます。
しかし、私は「観光客を増やせば増やすほど良い」という考え方には、
少し心配な部分もあります。
奈良の魅力は、京都や大阪とは少し違います。
大規模な商業施設や派手なエンターテインメントではなく、
寺社や仏像、古い町並み、自然、
そして長い歴史が積み重なった「静けさ」にあります。
だからこそ、奈良に求められているのは、観光客を大量に呼び込んで、
短時間で多くの場所を回ってもらう観光だけではないのではないでしょうか。
むしろ、
「せっかく奈良まで来たのだから、少しゆっくりしていってください」
という観光のあり方が、奈良には合っているように思います。
例えば、朝早く寺院を訪れる。
人の少ない時間に仏像と向き合う。
庭園を眺めながら時間を過ごす。
奈良の歴史を知ってから、もう一度仏像を見る。
そして、奈良で一泊して、夜の町や朝の風景まで楽しむ。
そんな「時間をかけて奈良を知る観光」が、
これからもっと評価されてもいいのではないでしょうか。
観光客の数を増やすことだけを目標にすると、
奈良の良さそのものが失われてしまう可能性があります。
一方で、奈良の文化や歴史を大切にしながら、
訪れる人に「また来たい」と思ってもらえる観光をつくることができれば、
観光客の増加と奈良らしさを両立できるかもしれません。
フランス人観光客が奈良に惹かれていることは、
そのヒントになるように思います。
奈良を訪れる人に、本当に見てほしいものは何なのか。
奈良で、どんな時間を過ごしてほしいのか。
そして、観光客が増えても、奈良らしさをどう守っていくのか。
「たくさんの人に来てもらう奈良」だけではなく、
「来た人に、奈良を深く好きになってもらう奈良」
を目指すことも、これからの奈良の観光には大切なのではないでしょうか。
できれば、奈良を訪れたフランス人の皆さんには、
急いで次の観光地へ向かうのではなく、少し足を止めて、
ゆっくりと仏教美術に浸って帰っていただきたい。
奈良には、それだけの時間をかける価値があると思います。
皆様こんにちは。
奈良市富雄の行政書士 松岡です。
昨日は、歯科技工士の人手不足と高齢化について書きました。
歯科技工士を目指す人が減り、働く人の高齢化も進んでいます。
では、この人手不足に対して、
これからどのような対応が考えられるのでしょうか。
その一つとして注目したいのが、
「歯科技工士のリモートワーク」です。
実は、歯科技工のリモートワークは、
すでに制度上認められています。
2022年の歯科技工士法施行規則の改正によって、
CAD/CAM装置などを使った自宅等での
リモートワークが可能であることが明確にされました。
では、歯科技工士のリモートワークとは、
どのようなものなのでしょうか。
「自宅で入れ歯を作る」という話ではない
リモートワークというと、
自宅で入れ歯や被せ物を作る姿を想像するかもしれません。
しかし、そういうことではありません。
ポイントになるのは、歯科技工のデジタル化です。
これまでの歯科技工では、歯科医院で型を取り、
模型などの「物」を技工所に運び、
技工士がそれを見ながら製作するという流れがありました。
ところが、口腔内スキャナーなどのデジタル技術を使えば、
歯の状態をデータとして扱うことができます。
そうすると
「模型を運ぶ」のではなく「データを送る」
という仕事の流れが可能になります。
ここが、これまでの歯科技工と大きく違うところです。
「作る人」から「設計する人」へ
デジタル化が進むと、歯科技工の工程を分けて考えられるようになります。
例えば、コンピューター上で歯の形や咬み合わせなどを設計する「CAD」。
そして、その設計データをもとに機械で加工する「CAM」。
さらに、その後の仕上げや調整。
こうした工程をすべて一人が同じ場所で行う必要がなくなる可能性があります。
例えば、
歯科医院でデータを取得
↓
技工士が遠隔で設計
↓
別の場所で加工
↓
仕上げ・調整
という仕事の流れです。
つまり、リモート技工で大きく変わるのは、
「働く場所」だけではありません。
歯科技工士の仕事そのものが変わる可能性があります。
これからは「手を動かす技術」だけではない
もちろん、歯科技工士にとって
手作業の技術が必要なくなるわけではありません。
しかし、デジタル技術が広がれば、
「どのような形にするのか」
「どのように咬み合わせるのか」
「見た目と機能をどう両立させるのか」
といった、設計や判断の重要性がさらに高まるかもしれません。
「技術を持って、ものを作る仕事」から、
「技術と知識を使って、最適な形を設計する仕事」へ
歯科技工士の仕事の中身そのものが
変わっていく可能性があります。
人手不足にも一つの答えになるかもしれない
この変化は、人手不足への対応という意味でも注目できます。
例えば、地方では歯科技工士が不足していても、
別の地域には技術を持った技工士がいるかもしれません。
データをやり取りできれば、
これまで距離の問題で仕事を頼みにくかった歯科医院と技工士が
つながる可能性があります。
また、育児や介護などによって一度仕事を離れた技工士にとっても、
仕事内容によっては、これまでとは違った働き方ができる可能性があります。
「毎日、技工所に通う」
という働き方だけではなくなることで、
働ける人を増やせるかもしれません。
ただ、機械を入れれば解決するわけではない
もちろん、デジタル化すればすべてが解決するわけではありません。
歯科医院側にも、データを正確に取得するための設備や技術が必要です。
技工士側にも、CADなどを使いこなす新しい技術が求められます。
さらに、医療に関わるデータを扱う以上、情報管理も重要になります。
「新しい機械を導入すれば人手不足が解消する」
という単純な話ではありません。
仕事の流れそのものを見直し、
歯科医院と技工所がどのように連携するのかを考える必要があります。
「人を増やす」だけではない人手不足対策
歯科技工士不足というと、どうしても
「若い人にもっとこの仕事を選んでもらう」
という方向に目が向きます。
もちろん、それは重要です。
しかし、それだけではありません。
今いる技工士が長く働けるようにする。
一度離職した技工士が戻りやすくする。
地域を越えて仕事ができるようにする。
そして、一人の技工士がより効率的に仕事ができるようにする。
デジタル化やリモートワークには、こうした可能性があります。
仕事が変われば、働き方も変わる
歯科技工士の問題を見ていると、単純な「人手不足」だけではないように感じます。
人が減っているからこそ、これまで一人の技工士がすべて担っていた仕事を分ける。
技術をデジタル化する。
場所に縛られない仕事を増やす。
そうすることで、「人を増やす」のではなく、
「人が働き続けられる仕事の形をつくる」という考え方も必要になってきます。
これは歯科技工士だけの話ではありません。
人手不足が深刻になるこれからの日本では、
さまざまな専門職で同じような変化が起きてくるのではないかと思います。
歯科技工士のリモートワークは、単なる「在宅勤務」の話ではありません。
模型や物を運ぶ仕事から、データを活用して設計する仕事へ。
その変化は、歯科技工士という職業だけでなく、
歯科医療の仕事の進め方そのものを変えていく可能性があります。
人手不足の時代に、私たちは「人を増やす」だけでなく、
「仕事のやり方を変える」ことも考えなければならないのかもしれません。
皆様こんにちは。
奈良市富雄の行政書士 松岡です。
歯医者さんで作ってもらう入れ歯や被せ物、詰め物。
こうした歯科治療に欠かせないものを、
実際に製作している「歯科技工士」という仕事をご存じでしょうか。
歯科医師に比べると、患者さんが直接接する機会は
少ないかもしれません。
しかし、歯科技工士がいなければ、
入れ歯や被せ物などを完成させることはできません。
その歯科技工士が今、深刻な人手不足と高齢化に直面しています。
歯科技工士を目指す人が大きく減っている
全国歯科技工士教育協議会の調べでは、
歯科技工士養成機関への入学者数は、
1993年の3,155人から2023年には718人まで減少しています。
30年間で約4分の1以下です。
学校数も72校から46校へ減少しています。
つまり、歯科技工士として働く人が減っているだけではありません。
そもそも新しく歯科技工士を目指す若者そのものが
大きく減っているということです。
一方で、現役の歯科技工士は高齢化しています。
平均年齢は約49歳で、働いている人の半数近くが50歳以上とされ、
若い世代の不足が目立っています。
このまま若い人材が入ってこなければ、
現在働いている技工士が引退することで、
さらに人手不足が進む可能性があります。
なぜ歯科技工士が減っているのか
背景には、いくつかの要因があります。
一つは、長時間労働と収入の問題です。
歯科技工は細かな作業が多く、
納期に合わせて製作する必要があります。
その一方で、歯科技工にかかる費用は、
歯科医療制度の中で大きく制約されています。
材料費や光熱費などが上昇しても、
技工所が自由に価格を決められるわけではありません。
そのため、
「仕事は忙しいのに利益が残りにくい」
という問題につながりやすくなっています。
さらに、最近ではCAD/CAMなどのデジタル技術や
3Dプリンターの導入も進んでいます。
技術革新によって作業を効率化できる一方、
新しい設備を導入するためには相応の資金が必要です。
歯科技工士は「会社員」だけではない
ここで少し興味深いのが、歯科技工士の働き方です。
歯科技工士というと、技工所で働く会社員をイメージする人が多いかもしれません。
しかし、実際にはいくつかの働き方があります。
1.歯科技工所に勤務する
最も一般的な働き方の一つです。
技工所に勤務し、入れ歯や被せ物などの製作を担当します。
規模の大きな技工所では、工程ごとに分業されている場合もあります。
会社員として働けば、給与が安定し、
社会保険や福利厚生を受けられるというメリットがあります。
また、個人では購入が難しいCAD/CAMなどの設備を使いながら
技術を身につけられることもあります。
2.独立して個人の技工所を開業する
歯科技工士には、自分で技工所を開業するという道もあります。
歯科医院から仕事を受け、製作して納品するという形です。
以前は、経験を積んだ技工士が自宅などを利用して
小規模な「個人ラボ」を開業するケースもありました。
独立すれば、自分の技術や営業力次第で仕事を広げることができます。
一方で、技術だけでは経営できません。
歯科医院への営業、受注管理、納期管理、材料の仕入れ、
設備投資、経理など、経営者としての仕事も必要になります。
特に現在は、デジタル化への対応も重要になっています。
3.歯科医院に直接勤務する「院内技工士」
もう一つが、歯科技工所ではなく、歯科医院に直接雇用される働き方です。
院内技工士であれば、歯科医師と近い距離で仕事をすることができます。
患者さんの口腔内の状態について歯科医師から
直接説明を受けながら製作するため、
技工所とは違ったやりがいを感じる人もいます。
また、歯科医院の診療時間に合わせた勤務となるため、
技工所とは異なる働き方ができる可能性があります。
「技術職」から「デジタル技術職」へ
歯科技工の世界も、昔ながらの手作業だけではありません。
現在はCAD/CAMなどを利用して、コンピューター上で
歯の形状を設計する技術が広がっています。
さらに3Dプリンターなどの技術も活用されるようになっています。
これは人手不足への対応という意味でも重要です。
すべてを人の手で作るのではなく、
デジタル技術によって作業を効率化することで、
一人の技工士が対応できる仕事量を増やせる可能性があります。
ただし、機械を導入すれば人手不足がすべて解決するわけではありません。
機械を操作する知識や技術も必要ですし、設備投資には資金が必要です。
「人を増やす」だけではなく、
「少ない人数で効率的に仕事ができる環境をつくる」ことも、
これからの歯科技工所には重要になってきそうです。
歯科技工士不足は、私たちの生活にも関係する
歯科技工士の問題は、業界の中だけの話ではありません。
技工士が不足すれば、入れ歯や被せ物などの製作に
時間がかかる可能性があります。
特に高齢者が増える中で、入れ歯を必要とする人は
少なくありません。
「歯科医院はあるのに、製作する人が足りない」
という状況になれば、将来的には歯科医療そのものにも
影響する可能性があります。
歯科技工士は、患者さんからは見えにくいところで
歯科医療を支えている仕事です。
だからこそ、今後は若い人がこの仕事を選びやすい環境をつくること、
そして技術や設備への投資ができる技工所を増やしていくことが
重要になるのではないでしょうか。
皆様こんにちは。
奈良市富雄の行政書士 松岡です。
最近、タクシーを利用するときに
「アプリで呼ぶ」という人が増えています。
「GO」や「S.RIDE」などのタクシー配車アプリを使えば、
スマートフォンから乗車場所と目的地などを指定して、
近くのタクシーを呼ぶことができます。
電話でタクシー会社に連絡して迎えに来てもらう方法と違い、
アプリ上でタクシーを探して配車を依頼できるのが特徴です。
さらに、配車だけではありません。
対応しているサービスでは、
料金の支払いまでスマートフォン上で完了できるため、
降車時に現金を用意したり、お釣りを受け取ったりする手間も
少なくなっています。
利用者にとって便利なサービスですが、
実はこの変化はタクシー運転手の働き方にも大きな影響を与えています。
これまでのタクシー業界では、
どこに乗客がいるのかを判断する「土地勘」や「経験」が重要でした。
駅や繁華街、病院、ホテルなど、
時間帯によって人が集まる場所をベテランドライバーは経験から把握しています。
一方、経験の浅い新人ドライバーにとっては、
こうした「どこで待てばお客さんを見つけられるのか」という判断が難しい部分でし
た。
そこを変えつつあるのが、配車アプリです。
アプリを利用すると、乗客からの配車依頼と
ドライバーをシステムがマッチングしてくれます。
つまり、これまでベテランドライバーが経験によって身につけてきた
「お客さんを見つける力」の一部を、
テクノロジーが補ってくれるようになったのです。
若手・未経験者にも追い風
この変化によって、タクシー業界では若手や未経験者でも
収入を伸ばしやすくなっています。
20代前半のタクシードライバーの平均年収が約483万円に達し、
全産業の同年代平均を大きく上回るというデータもあります。
また、新卒でタクシー会社に入社する人も増えています。
「タクシー運転手はベテランにならなければ稼げない」
という従来のイメージが変わり、
若くても成果次第で収入を伸ばせる仕事として注目され始めています。
配車アプリがドライバーにもたらした変化
配車アプリのメリットは、
乗客を見つけやすくなることだけではありません。
アプリによって乗客とのマッチングが行われるため、
空車のまま走り続ける時間を減らすことができます。
また、「どこに行けばお客さんがいるのか分からない」
という新人ドライバーの負担も小さくなります。
さらに、アプリ決済を利用できれば、
現金の受け渡しやお釣りの準備など、会計にかかる手間も減ります。
ドライバーにとっては、
・乗客を見つけやすくなる
・空車時間を減らせる
・流し営業の負担を減らせる
・決済業務を効率化できる
といったメリットがあります。
ただし「アプリを使えば誰でも稼げる」わけではない
もちろん、配車アプリが普及したからといって、
誰でも簡単に高収入を得られるわけではありません。
重要なのは、アプリだけに頼るのではなく、
ドライバー自身の経験や判断も組み合わせることです。
例えば、雨の日、終電後、大型イベントの終了時間などは、
タクシーの需要が高まりやすい時間帯です。
こうした需要を予測して移動しながら、
アプリによる配車と従来の「流し営業」を組み合わせることで、
より効率的に仕事をすることができます。
「経験の差」をテクノロジーが補う時代へ
今回のタクシー業界の変化で興味深いのは、
単にタクシーが便利になったということではありません。
これまで「経験を積まなければ身につかなかった能力」の一部を、
テクノロジーが補うようになったことです。
これはタクシー業界だけの話ではありません。
営業、物流、販売、飲食など、
これまで「ベテランの経験や勘」が重要だった仕事でも、
AIやデータ、アプリなどによって、
経験の浅い人でも仕事をしやすくする仕組みが広がっています。
人手不足が続く時代には、単純に人を増やすだけではなく、
「経験の浅い人でも仕事ができる環境をつくる」
ことが重要になっているのかもしれません。
タクシー配車アプリの普及は、
私たち利用者の便利さだけでなく、
働く側の環境も変えているようです。