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半導体産業を変えた「ファウンドリ」という仕組み

皆様こんにちは。

奈良市富雄の行政書士 松岡です。

「TSMC(台湾積体電路製造)」という会社をご存じでしょうか。

AppleやNVIDIA(エヌビディア)ほど一般には知られていないかもしれません。

しかし、スマートフォンやAI、データセンターなど、

現在のデジタル社会を支える半導体の世界では、

TSMCは極めて重要な存在です。

では、TSMCは何をしている会社なのでしょうか。

一言で言えば、

「他社が設計した半導体を、製造する会社」

です。

ここに、TSMCの強さの秘密があります。

以前の半導体産業では、半導体の設計から製造までを

一社で行うのが一般的でした。

しかし半導体が高度になるにつれ、最先端の工場を作るためには、

莫大な投資と高度な技術が必要になりました。

そこで生まれたのが、

「設計する会社」と「製造する会社」を分ける

という考え方です。

半導体を設計する企業は、設計に集中する。

そして製造は、専門の会社に任せる。

この製造専門会社をファウンドリと呼びます。

その代表がTSMCです。

例えばNVIDIAがAI向け半導体を設計する。

その設計データをTSMCが受け取る。

TSMCが実際の半導体を製造する。

非常にシンプルですが、産業構造としては大きな革命でした。

なぜ「作ること」に特化すると強いのか?

ここがポイントです。

NVIDIAのような企業は、自社で最先端の巨大工場を持つ必要がありません。

「自分たちは世界最高の半導体を設計する」

そして、

「製造はTSMCに任せる」

という分業ができます。

一方、TSMCは製造に徹底的に集中する。

最先端の設備に投資し、製造技術を磨き、品質を高める。

つまり、

設計する会社は設計を極める。

製造する会社は製造を極める。

それぞれが自分の得意分野に集中できるわけです。

これが「水平分業」です。

しかし、TSMCの本当の強さは、

単に工場の性能が高いことだけではありません。

世界中の半導体企業がTSMCを利用することで、

設計会社、

装置メーカー、

材料メーカー、

ソフトウェア企業など、

さまざまな企業がTSMCを中心につながっていきます。

すると、

「TSMCを使う企業が増える」

「製造の経験とノウハウが蓄積する」

「さらに製造能力が高くなる」

「もっと多くの企業がTSMCを使う」

という循環が生まれます。

これがエコシステムです。

TSMCは、単なる「半導体工場」ではなく、

世界中の半導体企業が利用する製造プラットフォーム(土台や基盤)

になったのです。

もう一つ重要なのが、

TSMCが基本的に顧客と同じ製品ブランドで競争しないことです。

NVIDIAがGPU(画像処理半導体)を作る。

Appleが独自の半導体を設計する。

その一方で、TSMCはそれらの製造を支える。

だからこそ、さまざまな企業がTSMCを

パートナーとして利用できます。

つまり、

「自分で製品を売って勝つ」のではなく、

「顧客が勝てるようにすることで、自分も成長する」

というビジネスモデルです。

これは非常に強い。

顧客が増えるほど、自社のプラットフォームも大きくなるからです。

TSMCの事例から見えてくるのは、これからの産業競争では、

「何を作って売るか」だけではなく、

「誰が産業のプラットフォームを握るか」

が重要になるということです。

自社ですべてを抱えるのではなく、

「設計する会社」

「作る会社」

「材料を作る会社」

「販売する会社」

が、それぞれの得意分野を持ち寄る。

その中心に、強力なプラットフォームが生まれる。

半導体では、それがTSMCでした。

では、同じようなことが、

私たちにとってもっと身近な産業でも起きているとしたら?

実は、その代表例の一つが化粧品です。

韓国では、ブランド自身が研究所や工場を持たなくても、

「こんな商品を作りたい」

というアイデアから、処方、商品開発、デザイン、

製造までを支援する企業が成長しています。

それが、

「ODM」(設計受託製造)

です。

韓国のODMについてはまた後日

見ていきたいと思います。