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氷河期世代の問題

皆様こんにちは。

奈良市富雄の行政書士 松岡です。

若い世代の給料はこの数年で大きく改善しています。

人手不足を背景に初任給の引き上げが相次ぎ、

需給の追い風を受けているからです。

ところが一方で、50〜54歳の賃金は

5年前と比べてマイナスとなっています。

この世代は、いわゆる就職氷河期世代にあたり、

景気回復の恩恵が十分に届いていない現実が浮かび上がります。

背景には人口動態と制度の影響があります。

2006〜2008年には、1947〜1949年生まれの団塊世代が一斉に

60歳の定年を迎えました。

大量退職に伴う人件費の増大は企業経営に大きな負担となり、

その「しわ寄せ」が当時の40〜50代の

賃金抑制につながった可能性があります。

さらに2006年4月の高年齢者雇用安定法改正により、

65歳までの雇用確保が努力義務となりました。

これは公的年金の支給開始年齢引き上げに対応するもので、

その後も2013年、2021年、2025年と段階的に強化されています。

企業にとってはシニア層を長く雇用する構造が固定化し、

将来の人件費負担を意識せざるを得ない状況が続きました。

その結果、50代以降の賃上げを抑制する動機が働いたと考えられます。

制度面でも、50代は年功賃金カーブから外れやすい年代です。

多くの企業では20代から40代後半までは定期昇給が続きますが、

50代に入ると昇給ペースが鈍化します。

管理職へ移行し労働組合の保護から外れる人も増え、

人件費調整の対象になりやすい側面もあります。

2006〜2019年にかけて氷河期世代の待遇が伸び悩んだ背景には、

こうした見えにくいコスト圧力があったのでしょう。

人生満足度は20代から30代前半にかけて上昇し、

40代前半でいったん落ち込み、

50代前半から再び上向くと言われていました。

しかし氷河期世代は、20代前半から40代前半まで下がり続け、

その後も十分に回復していないとの指摘があります。

経済的な不安定さが長期化したことが、

心理面にも影を落としているのかもしれません。

今求められているのは、

生活費を確保しながら高度なITや専門スキルを学び直せる制度づくり、

そして親の介護による離職を防ぐための強力な公的支援です。

人手不足の時代において、この世代の力を活かさないのは

社会全体の損失にもつながると思います。

氷河期世代の問題は「自己責任」ではなく、

景気や制度のはざまで生じた構造的な課題です。

若年層の待遇改善が進む今こそ、

取り残された世代への具体的な支援をどう設計するのか。

国も企業の考えていかなければならないのではないかと思います。