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フランス人と奈良

皆様こんにちは。

奈良市富雄の行政書士 松岡です。

奈良を歩いていると、外国人観光客の多さに驚くことがあります。

その中でも、多く見かけるのがフランス人観光客です。

実際、奈良県の外国人延べ宿泊者を見ると、

2024年のフランス人の割合は5.5%。

中国、アメリカ、韓国などに続く上位の国の一つとなっています。

奈良市でも、2023年の外国人宿泊者に占めるフランス人の割合は6.6%で、

国別では上位に位置しています。

なぜ、フランス人は奈良に惹かれるのでしょうか。

その理由の一つは、奈良が単なる「観光地」ではなく、

日本の歴史や宗教、美術を感じることができる場所だからではないかと

予想されます。

奈良には、法隆寺、東大寺、興福寺、薬師寺、唐招提寺など、

長い歴史を持つ寺院が数多く残っています。

そこにある仏像や建築、庭園は、単に「見る観光」だけではなく、

日本人がどのような価値観の中で文化を育ててきたのかを

感じさせてくれます。

そして、奈良に惹かれてきたフランス人は、

決して最近始まったものではありません。

フランスの文学者・外交官であるポール・クローデルは

日本文化に深い関心を持ち、奈良にも強い関心を寄せました。

また、作家・思想家のアンドレ・マルローも

日本文化に強い関心を持った人物です。

マルローの日本理解には、

駐日フランス大使を務めたクローデルらから得た影響も指摘されています。

こうした文化人が

日本の文化や美術をフランスに紹介してきた歴史を考えると、

フランス人にとって奈良は

「日本を代表する古都の一つ」というだけではなく、

日本文化そのものに触れる場所

として受け止められてきたのかもしれません。

ここで、奈良の観光について少し考えてみたいと思います。

もちろん、奈良を訪れる観光客が増えることは、

地域経済にとって大きな意味があります。

宿泊、飲食、交通、買い物、文化施設など、

観光客が増えることで恩恵を受ける事業者も増えます。

しかし、私は「観光客を増やせば増やすほど良い」という考え方には、

少し心配な部分もあります。

奈良の魅力は、京都や大阪とは少し違います。

大規模な商業施設や派手なエンターテインメントではなく、

寺社や仏像、古い町並み、自然、

そして長い歴史が積み重なった「静けさ」にあります。

だからこそ、奈良に求められているのは、観光客を大量に呼び込んで、

短時間で多くの場所を回ってもらう観光だけではないのではないでしょうか。

むしろ、

「せっかく奈良まで来たのだから、少しゆっくりしていってください」

という観光のあり方が、奈良には合っているように思います。

例えば、朝早く寺院を訪れる。

人の少ない時間に仏像と向き合う。

庭園を眺めながら時間を過ごす。

奈良の歴史を知ってから、もう一度仏像を見る。

そして、奈良で一泊して、夜の町や朝の風景まで楽しむ。

そんな「時間をかけて奈良を知る観光」が、

これからもっと評価されてもいいのではないでしょうか。

観光客の数を増やすことだけを目標にすると、

奈良の良さそのものが失われてしまう可能性があります。

一方で、奈良の文化や歴史を大切にしながら、

訪れる人に「また来たい」と思ってもらえる観光をつくることができれば、

観光客の増加と奈良らしさを両立できるかもしれません。

フランス人観光客が奈良に惹かれていることは、

そのヒントになるように思います。

奈良を訪れる人に、本当に見てほしいものは何なのか。

奈良で、どんな時間を過ごしてほしいのか。

そして、観光客が増えても、奈良らしさをどう守っていくのか。

「たくさんの人に来てもらう奈良」だけではなく、

「来た人に、奈良を深く好きになってもらう奈良」

を目指すことも、これからの奈良の観光には大切なのではないでしょうか。

できれば、奈良を訪れたフランス人の皆さんには、

急いで次の観光地へ向かうのではなく、少し足を止めて、

ゆっくりと仏教美術に浸って帰っていただきたい。

奈良には、それだけの時間をかける価値があると思います。