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日別アーカイブ: 2026年9月15日

日本版ライドシェアはなぜ広がりにくい? タクシー補完制度の限界と これから

皆様こんにちは。

奈良市富雄の行政書士 松岡です。

先日、スマートフォンからタクシーを呼べる

「タクシー配車アプリ」とドライバーについて取り上げました。

今回は、地域の移動手段として注目されている「ライドシェア」

とタクシーアプリの関わりについて考えてみます。

最近、「ライドシェア」という言葉を

ニュースで耳にする機会が増えました。

タクシー不足を解消する新しい移動手段として期待され、

日本でも2024年から「日本版ライドシェア」が始まっています。

タクシー配車アプリ、ライドシェアなど

よく耳にするものの、意味がよくわからないことって

結構ありませんか?

「GOなどのタクシーアプリとライドシェア、何が違うの?」

と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

「配車アプリ」と「ライドシェア」は別のもの

まず、ここを整理しておきたいと思います。

「GO」のようなタクシーアプリは、

スマートフォンからタクシーなどを呼ぶための配車サービスです。

一方、日本版ライドシェアは、タクシーが不足している時間帯などに、

一般ドライバーと自家用車を活用して輸送力を補う制度です。

つまり、

配車アプリ=車を呼ぶ仕組み

日本版ライドシェア=車を運転する人や車両を増やす仕組み

と考えると分かりやすいでしょう。

しかも現在は、GOのアプリから

日本版ライドシェアの車両が配車されることがあります。

利用者から見ると、スマートフォンで

GOを開いて車を呼ぶだけなので、

普通のタクシーなのか、ライドシェアなのか分かりにくいこともあります。

GO自身も、日本版ライドシェアの運行開始に合わせ、

タクシーがつかまりにくい曜日や時間帯にライドシェア車両を

配車する対応を始めています。

 

では、日本版ライドシェアとは何なのか

日本版ライドシェアは、正式には

「自家用車活用事業」と呼ばれています。

目的は、タクシーが不足する地域や時間帯に、

一般のドライバーと自家用車を活用して

不足する輸送力を補うことです。

ここで重要なのが、海外のライドシェアとは

仕組みが異なることです。

日本版ライドシェアでは、

タクシー事業者が実施主体となり、

一般ドライバーの管理や運行管理を担います。

一般ドライバーは所定の研修などを受け、

自家用車を使って乗客を運びます。

運賃もタクシーと同水準とされています。

つまり、

「誰でも自由に乗客を乗せて営業できる」

という制度ではありません。

あくまで、タクシー会社を中心とした仕組みの中で、

一般ドライバーの力を借りてタクシー不足を補う制度なのです。

 

海外のUber型とは何が違うのか

海外では、Uberなどのプラットフォームを通じて、

一般ドライバーが乗客を運ぶ仕組みが広く普及しています。

これに対して日本では、

安全性や既存のタクシー事業への影響などを考慮し、

タクシー事業者の管理下でライドシェアを運行する形からスタートしました。

そのため、日本版ライドシェアは、

「タクシーに代わる新しい交通事業」

というより、

「タクシーを補完する仕組み」

という位置付けになっています。

この違いが、日本版ライドシェアの普及を考えるうえで非常に重要です。

 

タクシー不足を解消するはずが、なぜ広がりにくいのか

日本版ライドシェアが始まった背景には、

深刻なタクシー不足がありました。

特に、夜間や観光シーズン、イベント開催時などには、

タクシーがつかまりにくい問題がありました。

そこで、タクシーが足りない時間帯だけ一般ドライバーを活用する。

考え方としては非常に合理的です。

実際、国土交通省によると、日本版ライドシェアは制度開始後、

雨天時や酷暑時、イベント開催時、観光シーズンなどにも

活用範囲が広げられてきました。

しかし、ここで事業者側の問題が出てきます。

「コストに対する売り上げが見合わない」

日本版ライドシェアに積極的に取り組んできた事業者からは、

採算面を問題視する声も出ています。

タクシー事業者にとっては、一般ドライバーを集めれば

終わりではありません。

ドライバーの採用、教育、運行管理、車両の管理などが

必要になります。

一方で、日本版ライドシェアは

「タクシーが不足している時間帯」に対応する制度です。

つまり、いつでも自由に車を走らせて

売り上げを増やせるわけではありません。

そのため、事業者にとっては、

「タクシー不足を補う必要はある」

「しかし、管理や運営にはコストがかかる」

という難しい問題が生じます。

 

「配車アプリが普及すればライドシェアはいらない」のか

ここも誤解しやすいところです。

GOのような配車アプリが普及すれば、

タクシーを効率的に呼べるようになります。

しかし、アプリはあくまで「車を探して呼ぶ仕組み」です。

そもそも周辺にタクシーがいなければ、

アプリがあっても車は来ません。

そこで、ライドシェアの役割が出てきます。

例えば、

「アプリでタクシーを呼びたいけれど、車が足りない」

という状況で、

「それなら一般ドライバーの車両も活用して供給を増やそう」

というのが日本版ライドシェアです。

つまり、

配車アプリ=需要と車をつなぐ

ライドシェア=不足している車を増やす

という関係になります。

 

大都市と地方では事情も違う

もう一つ注目したいのが、地域による違いです。

大都市では、タクシーの供給が以前より回復してきた地域もあります。

一方、地方では人口減少やドライバー不足によって、

タクシーそのものを維持することが難しくなっている地域もあります。

そう考えると、日本版ライドシェアは全国一律に考えるより、

「どこで、いつ、どれだけ移動手段が不足しているのか」

を見ながら活用する必要があります。

国土交通省も、配車アプリのデータなどを利用して

タクシーの不足する地域・時期・時間帯を把握し、

不足分を供給する仕組みを採用しています。

 

日本版ライドシェアは今後どうなるのか

日本版ライドシェアは、

決して「始まったけれど全く使われていない制度」ではありません。

国土交通省の資料では、

2025年8月時点で許可された導入地域は141地域、

登録ドライバーは9,518人、運行回数は約96万回に達しています。

一方で、事業者からは採算性の問題も指摘されています。

今後の焦点は、単純に「全面解禁するかどうか」だけではないでしょう。

安全性を確保しながら、どこまで一般ドライバーを活用できるのか。

タクシー会社に過度な負担をかけず、事業として成立させることができるのか。

そして、人口減少が進む地方で、どうやって「移動の足」を維持するのか。

こうした問題を一つずつ考えていく必要があります。

タクシーアプリの普及とライドシェアの導入は、

別々の話に見えて、実は同じ問題につながっています。

それは、

「必要なときに、必要な場所へ、どうやって人を運ぶのか」

という問題です。

タクシー不足をきっかけに始まった日本版ライドシェアですが、

今後は地域交通の維持や観光客の移動手段など、

より幅広い分野でその役割が問われていくことになりそうです。