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日別アーカイブ: 2025年8月19日

高齢者のペット飼育

皆様こんにちは。

奈良市富雄の行政書士 松岡です。

今回は、高齢の単身世帯で増えている「ペットとの暮らし」を支える制度、

ペット信託についてお話しします。

⚫︎増える高齢者のペット飼育

高齢の「おひとりさま」でも犬や猫と暮らす人が増えています。

背景には、医療やフードの進化によってペットの寿命が延びていることもあり、

飼い主の健康や万一のときに備えることが課題となっています。

⚫︎ペットの将来を守るために

これまで飼い主が亡くなった場合、親族や知人に飼育をお願いする「遺贈」や

「死因贈与」といった方法が使われてきましたが、

実際には次のような不安があります。

•ペットの世話をちゃんとしてもらえるか不明

•飼い主の生前の体調悪化に対応できない

•遺贈の放棄などで計画通りにいかない可能性も

こうした問題を補う手段として登場したのが「ペット信託」です。

【ペット信託とは?】

ペット信託とは、飼い主が亡くなったり、病気や高齢でペットの世話が

できなくなった場合に備え、信頼できる人にペットの飼育を託すための制度です。

具体的には、ペットの飼育費用を信託財産として預け、受託者がその費用を使って

ペットの世話を継続できるようにします。

ペット信託は、飼い主が信頼できる人にペットと飼育費を預け、亡くなった後も

確実に面倒を見てもらうための仕組みです。

主な特徴は次の通りです:

•ペットと一緒に飼育費用も信託財産として管理

•飼い主が自分の意志で世話をする人や団体を選べる

•ペットの性格・食事・健康状態などの情報を残しておける

もともとはアメリカで発展した制度で、州によっては裁判所が監督する仕組みも

あります。

⚫︎日本での課題と可能性

日本ではまだペット信託の認知度は高くなく、信託に対応できる専門家や金融機関も

限られています。

また、1匹あたりの信託金額が比較的少額(200万円前後)で信託報酬が少ないことから、

積極的に取り組まれにくい傾向にあるようです。

しかし、高齢者のペット飼育が今後さらに増えていくと考えられる中で、

ペット信託のニーズは今後高まっていくと思われます。

⚫︎ペット信託におけるトラブルと対策

1. 受託者の選定が重要:

信頼できる受託者を選ばないと、ペットの世話が適切に行われない可能性があります。

2. 信託契約の内容が不明確

契約には飼育方法や費用、トラブル時の対応などを

具体的に記載しておくようにしなければなりません。

3. 費用面の負担

一括での準備が必要なため、事前の費用見積もりと無理のない設定が

大切です。

4. 相続人とのトラブル

遺留分への配慮や、事前の説明・合意形成も円満な信託運用には欠かせません。

信託を検討する際のポイント

•信頼できる人・施設の選定

• 必要な資金の確保と費用設計

• ペットの詳細情報の記録

•定期的な契約の見直し

• 専門家への相談

「自分にもしものことがあったらどうしよう」という不安を、元気なうちから備えることで

安心に変えられます。情報の収集と選別が大切ですね。