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皆様こんにちは。
奈良市富雄の行政書士 松岡です。
都市部で暮らしながら、地方にも生活の拠点を持つ
「二地域居住(二拠点生活)」が注目されています。
週末は自然豊かな地域で過ごす。
普段の仕事を続けながら、地方で働く時間をつくる。
子どもに異なる環境で学ぶ機会をつくる。
こうした暮らし方は、
移住のように生活の拠点を完全に移すのではなく、
二つの地域を行き来しながら暮らすものです。
以前のブログでは、奈良県の奥大和で行われている
暮らしの体験や、教育移住、空き家の活用などを取り上げました。
今回はもう一歩進んで、二地域居住を実現するために、
地方自治体と民間企業がどのような取り組みを始めているのかを
見てみたいと思います。
目次
2024年11月、二地域居住を促進するための改正法が施行されました。
国土交通省は、自治体が二地域居住を進めるための計画を策定したり、
民間企業や地域の団体と連携したりする仕組みを整えています。
また、全国二地域居住等促進官民連携プラットフォームを通じて、
自治体と民間企業が情報を共有し、
地域ごとの課題解決に取り組む動きも進んでいます。
注目したいのは、地域に人を呼び込むために、
行政だけでなく、交通、住宅、IT、人材など、
さまざまな分野の企業が関わり始めていることです。
北海道厚沢部町で取り組まれている「保育園留学」は、
子どもが一定期間、地域の保育施設に通いながら、
家族でその土地の暮らしを体験する仕組みです。
保護者はリモートワークなどを活用しながら仕事を続け、
子どもは自然豊かな環境で過ごすことができます。
この取り組みの特徴は、観光だけではなく、
子育てと仕事を組み合わせている点です。
地域を訪れる家族にとっては、
普段とは違う環境で生活する機会になります。
一方、受け入れる地域には、保育施設だけでなく、
滞在先や仕事をする場所、日常生活を支える環境も必要になります。
つまり、人を呼び込むためには、
観光資源を紹介するだけではなく、
実際に生活できる環境を整える必要があるということです。
この仕組みは、子育て世帯を地域とつなぐ方法の一つとして、
二地域居住を考えるうえでも参考になります。
栃木県那須町では、二地域居住を進めるために、
行政と民間企業が連携する取り組みが進んでいます。
2026年3月には、那須町と航空・鉄道関係の企業などが
「那須町二地域居住コンソーシアム」を設立しました。
二地域居住では、住まいがあっても、交通費が高かったり、
現地での移動が不便だったりすると、継続して通うことが難しくなります。
そこで、地域への移動や情報発信、企業・団体間の連携などを通じて、
二地域居住を実現しやすい環境づくりを目指しています。
また、那須町では、二地域居住を支援する法人の指定も進められています。
ここで興味深いのは、二地域居住を
住宅や観光だけの問題として捉えていないことです。
移動を支える企業、仕事を紹介する企業、地域との接点をつくる企業など、
それぞれの得意分野を持ち寄ることで、
二地域居住を支える仕組みをつくろうとしているのです。
二地域居住というと、まず住まいの確保を考えるかもしれません。
しかし、実際に生活を続けるには、それ以外にもさまざまな条件があります。
仕事をする場所はあるか。
地域内を移動できるか。
日常の買い物に困らないか。
地域の人と交流する機会があるか。
こうした条件が整わなければ、せっかく地域を気に入っても、
継続して通うことは難しくなります。
そのため、コワーキングスペースの整備や、地域内の交通サービス、
仕事のマッチング、地域の情報発信なども重要になります。
それぞれは別の分野のサービスですが、利用する人から見ると、
どれも二地域居住を続けるために必要な要素です。
これまで地方への人の呼び込みというと、観光客を増やすことや、
移住者を獲得することが中心でした。
しかし、二地域居住では、その中間ともいえる関わり方が
生まれています。
完全に移住するわけではないけれど、何度も地域を訪れる。
地域で仕事をする。
地域の人と交流する。
滞在先で買い物やサービスの利用を続ける。
こうした人が増えれば、地域にとっては、
観光とは違う形で地域外の人とつながる機会になります。
ただし、二地域居住者が増えれば
必ず地域の売上が増えるわけではありません。
地域を訪れる人に、どのようなサービスを提供できるかが
重要になります。
また、交通や住宅の整備には費用がかかり、
企業が継続して事業を行うには採算性も必要です。
二地域居住は、制度を整えればすぐに広がるというものではありません。
暮らす人、受け入れる地域、サービスを提供する企業、
それぞれにメリットがある仕組みをつくることが求められます。
二地域居住をめぐる動きから見えてくるのは、
地域に人を呼び込むための方法が多様化しているということです。
住宅を用意するだけでも、交通手段を整えるだけでも十分ではありません。
仕事や子育て、地域との交流など、
生活全体を支える仕組みが必要になります。
そして、そうした仕組みは行政だけでつくれるものではありません。
地域の企業が持つ技術やサービス、
地域の人が持つ知識や経験を組み合わせることで、
新しい取り組みが生まれる可能性があります。
では、こうした二地域居住の広がりは、
地域の中小企業にとってどのようなビジネスチャンスにつながるのでしょうか。
次回は、住まい、移動、仕事、地域サービスなどの視点から、
具体的に考えてみたいと思います。