
皆様こんにちは。
奈良市富雄の行政書士 松岡です。
自動車教習所といえば、18歳前後の若者が運転免許を取るために通う場所。
私自身も、教習所と聞くと、学生が通う姿をイメージします。
ところが、少子化や若者のクルマ離れによって、
その当たり前の風景が変わろうとしています。
日本経済新聞の報道によると、
2050年には全国の自動車教習所の約3分の1にあたる約840校が
なくなる可能性があると試算されています。
背景にあるのが、免許を取得する若者そのものの減少です。
24歳以下の運転免許保有者数は、
2021年末から2025年末までの4年間で約37万人減少しています。
さらに、18歳人口の減少が続けば、
自動車教習所を利用する若者も長期的に減っていくことになります。
これまでと同じように「18歳前後の若者」を中心にしていては、
市場そのものが小さくなってしまうわけです。
新しい顧客を取り込む教習所
こうした環境の中で、教習所側にも変化が出ています。
その一つが、外国人向けの教習です。
物流業界などでは人手不足が続いており、
今後、外国人材がドライバーとして働く場面も増えていくことが考えられます。
そこで、外国人が利用しやすい環境を整える教習所が出てきています。
例えば、外国人向けの宿泊施設を整備し、
自炊設備や個室のシャワーを用意するなど、
生活習慣や宗教上の事情にも配慮する取り組みがあります。
これまで地元の若者を中心としていた教習所が、
遠方からの合宿免許や外国人を新たな顧客として
取り込もうとしているわけです。
また、予約や配車をオンライン化したり、
教習原簿をデジタル化したりすることで、
業務の効率化を進める動きもあります。
高齢者も重要な顧客に
一方で、教習所にとって新しい市場になっているのが高齢者です。
若者の免許取得者が減少する一方、日本では高齢化が進んでいます。
高齢者講習や安全運転に関する講習など、
教習所がこれまで培ってきたノウハウを高齢者向けに
活用することができます。
つまり、教習所を「若者が免許を取る場所」だけではなく、
地域の人が安全に運転を続けるための拠点
として考えることもできます。
市場が縮小するなら、顧客を見直す
今回の自動車教習所の話で興味深いのは、
単に「若者が減って大変」という話ではないところです。
若者が減るのであれば、別の顧客を探す。
外国人の需要があれば、その人たちが利用しやすい環境をつくる。
高齢者の需要があれば、その分野を強化する。
そして、ITを活用して業務を効率化する。
こうして見ると、人口減少は「市場がなくなる」というだけではなく、
市場の形が変わっていくことでもあります。
これは自動車教習所に限った話ではありません。
例えば、子どもの数が減れば、
子ども向けサービスの市場は縮小します。
一方で、高齢者が増えれば、高齢者向けの商品やサービスには
新しい需要が生まれます。
外国人が増えれば、多言語対応や外国人向けのサービスが
必要になるかもしれません。
生活スタイルが変われば、これまで存在しなかった需要が
生まれることもあります。
「何を売るか」だけではなく「誰に売るか」
事業を続けていると、「今の商品をどう売るか」
ということを考えがちです。
しかし、人口減少や高齢化のように、
社会そのものが変化している場合には、
「これから誰が顧客になるのか」
「その人たちは何を必要としているのか」
という視点も重要になってきます。
自動車教習所も、これまでの中心だった若者だけを見るのではなく、
外国人や高齢者など、新しい顧客層に目を向け始めています。
もちろん、すべての事業者が
新しい分野に進出する必要があるわけではありません。
ただ、今の顧客が10年後、20年後も同じように存在するとは限りません。
人口構造や生活スタイルが変われば、顧客も変わります。
その変化を早めに捉えて、サービスや仕事のやり方を少しずつ変えていく。
自動車教習所の変化は、人口減少時代に事業を続けていくためには、
「何を売るか」だけでなく「誰に必要とされるのか」を考えることが大切になる
ということを示しているのかもしれません。