日別アーカイブ: 2026年10月30日

若者の会社選びが変わる? 福利厚生と自己投資から考える日本の働き方

皆様こんにちは。

奈良市富雄の行政書士 松岡です。

先日のブログで医療現場の人手不足から

人材確保について考えました。

本日は会社の福利厚生と自己投資について

書きたいと思います。

給与住宅に住む若者の増加

総務省の調査をもとにした記事では、

社宅などの「給与住宅」に住む人のうち、

20代以下が占める割合は2023年に44.6%となり、

1980年代と比べてほぼ倍増したとされています。

給与住宅とは、会社などが従業員に提供する住宅のことです。

この数字からは、若い世代にとって、

会社が用意する住まいが

生活基盤を支える役割を担っていることがうかがえます。

住居費の負担を抑えることができれば、

その分を貯蓄や勉強、趣味などに回すこともできます。

福利厚生は、単に給与以外のサービスを提供するものではなく、

働く人の生活設計にも関わるものといえそうです。

 

生活の安定から、自分の能力を高める支援へ

福利厚生には、生活を支えるだけでなく、

従業員の成長を後押しする役割もあります。

例えば、資格取得費用の補助、外部研修への参加支援、

書籍購入費の補助などです。

副業を認めたり、柔軟な働き方を取り入れたりすることも、

自分の可能性を広げるきっかけになるでしょう。

厚生労働省の2025年度「能力開発基本調査」によると、

今後3年間で正社員の自己啓発支援費用を増やす予定の企業は

28.0%でした。

一方、減らす予定の企業は0.5%にとどまっています。

自己啓発とは、従業員が自らの意思で知識や技能を

身につけようとする取り組みです。

この調査結果からは、

従業員の学びを支援しようとする企業の姿勢が見えてきます。

もちろん、支援費用を増やす予定だからといって、

すべての従業員が積極的に学ぶようになるわけではありません。

それでも、人材の成長を個人任せにせず、

会社も後押しすることには意味があります。

会社の中で昇進することだけでなく、

どこでも通用する知識や技術を身につけ、

自分の市場価値を高める。

そうした考え方も、これからの働き方を考えるうえで

重要になりそうです。

 

時間の使い方も、会社選びの基準に

もう一つ、見逃せないのが時間の使い方です。

フレックスタイム制やリモートワークなど、

働く時間や場所を柔軟に選べる制度は、

単に楽に働くためのものではありません。

通勤時間を減らして勉強に充てる。

仕事を効率よく終えて、趣味や家族との時間を確保する。

自分の生活に合った働き方を選ぶ。

こうした工夫によって、仕事と生活の両方を充実させることができます。

もちろん、業種や職種によっては、

勤務時間や場所を自由に選ぶことが難しい場合もあります。

しかし、限られた時間をどう使い、

どのように能力を高めていくかという考え方は、

多くの職場で重要になっていくでしょう。

がむしゃらに長時間働くことだけが、

成長への道ではありません。効率よく働きながら、

自分の将来のために時間を使うことも、一つの選択肢です。

 

福利厚生は、会社にとっても経営上の選択肢

こうした福利厚生や人材育成への投資は、

従業員だけでなく、会社にとっても意味があります。

例えば、仕事に必要な資格取得費用や研修費用は、

一定の要件を満たせば会社の経費として損金に算入できます。

従業員の能力を高めながら、税務上も適切に処理できるということです。

また、住宅支援を考える企業にとっては、社宅制度も選択肢の一つです。

会社が借り上げた住宅などを従業員に貸し出す場合、

一定の条件を満たせば、従業員が受ける住宅の利益について

所得税が課税されない取り扱いがあります。

国税庁によると、従業員が会社に支払う家賃が

「賃貸料相当額」の50%以上であれば、

原則として、その差額は給与として課税されません。

ここでいう賃貸料相当額は、実際の家賃と必ずしも同じではないため、

注意が必要です。

現金で住宅手当を支給する場合とは税務上の扱いが異なるため、

社宅制度の設計によっては、従業員の負担を抑えられる可能性があります。

ただし、社宅の提供は社会保険上、

現物給与として報酬に含めて扱われる場合があり、

保険料の算定に影響することがあります。

会社側の家賃負担や管理費用も含めて検討する必要があり、

法人税の負担が軽くなるから必ず有利とは限りません。

(詳しくは、税理士など専門家にご確認ください。)

大切なのは、税金を減らすことだけを目的にするのではなく、

従業員にとってのメリットと会社の負担を比較し、

双方にとって適切な制度を考えることです。

大企業と同じような制度をそろえることが難しい中小企業でも、

資格取得を応援する、学ぶ時間を確保する、

本人の希望を聞いて仕事を任せるなど工夫できることはあります。

福利厚生を単なるコストとして見るのではなく、

人材の採用や定着、成長を支える投資として考えることが

重要になりそうです。

 

自分への投資が、日本経済を変えるかもしれない

かつては、会社のために長時間働き、

組織の中で出世していくことが仕事の成功を測る一つの基準でした。

もちろん、今も仕事に打ち込むことや

責任ある立場を目指すことには大きな意味があります。

ただ、それだけではなく、自分の能力を高め、働き方を工夫し、

仕事以外の生活も充実させる。

そんな生き方にも価値が置かれるようになっています。

自分のために学び、身につけた知識や技術を仕事に生かす。

新しい仕事に挑戦し、これまでになかったサービスを生み出す。

そうした人が増えれば、企業の生産性や競争力の向上にも

つながる可能性があります。

もちろん、自己投資がそのまま経済成長につながるわけではありません。

学んだことを生かせる仕事や、挑戦を受け入れる企業の環境も必要です。

それでも、若い世代が自分の将来を主体的に考え、

限られた時間やお金をどこに使うかを真剣に考えていることには

期待したいと思います。

効率よく働き、自分の時間を大切にする。

そして、自分を磨き、会社の中だけでなく、

社会の中でも選ばれる人を目指す。

そんな働き方が広がったとき、

日本の企業や経済はどのように変わっていくのでしょうか。

若い世代の自己投資が、

これからの日本をどう押し上げていくのか。

楽しみにしたいと思います。