テレビ離れの中でも成長するBS局に学ぶ「目利き力」

皆様こんにちは。

奈良市富雄の行政書士 松岡です。

 

普段の生活の中で

テレビをどのくらい見られますか?

NHK放送文化研究所の「国民生活時間調査」2025年版データによると、

平日にリアルタイムでテレビを15分以上見ない人の割合は、

全世代で増加傾向にあるとのことです。

インターネットの動画やSNSなどの利用者が増えたことが

要因だとみられています。

一方、テレビの平均利用時間は3時間14分で、

前回から増えているそうです。

70歳以上の利用時間が増えたことが全体を押し上げている

とのことです。

 

存在感を高めるテレビ局

テレビ離れが進んでいるといわれる中、

独自の戦略で存在感を高めているテレビ局があります。

それが、無料のBS放送を手がける独立系BS局です。

電通の「日本の広告費」をもとにした2025年の比較では、

地上波テレビの広告費が2012年比で約8%減少した一方、

無料BSの広告費は約47%増加しています。

テレビを取り巻く環境が厳しくなる中でも、

BSには異なる動きが見られます。

もちろん、広告費が増えたからといって、

すべてのBS局が同じように成長しているわけではありません。

それでも、今回の動きには、企業経営にも通じるヒントがありそうです。

 

大手と同じ土俵で戦わない

独立系BS局の特徴は、幅広い視聴者に向けて番組をつくるだけでなく、

特定のジャンルや視聴者層に力を入れていることです。

例えば、BS12では、サメ映画を集めた特集や、

プロ野球中継で特定のチームに寄り添った解説など、

一般的なテレビ番組とは少し違う企画が話題になっています。

アニメに力を入れるBS11も、その一例です。

BS11はアニメを放送するだけでなく、

関連商品の展開やイベント、動画配信などにも取り組んでいます。

2026年8月期の決算では、売上高が前期比0.9%増の約119億円となりました。

一方、営業利益は減少しており、

売上の拡大と収益性の維持が同時に求められていることも分かります。

大手のテレビ局と同じように、

あらゆる視聴者に向けて番組をそろえるのではなく、

特定のジャンルで「この番組なら見たい」と思ってもらう。

その積み重ねが、独自の存在感につながっているのでしょう。

 

小さな市場でも、熱心な顧客がいれば商売になる

もう一つ興味深いのが、番組と商品の販売を結びつける取り組みです。

例えば、旅番組を見て旅行への関心が高まった人に、

関連する旅行商品を紹介する。

番組を楽しんでもらうだけでなく、

その関心を実際の購買につなげる考え方です。

視聴者が何に興味を持ち、どのような商品やサービスを求めているのか。

それを理解できれば、広告収入だけに頼らない収益の可能性も広がります。

これはテレビ局だけの話ではありません。

地域の小規模な会社が大手企業と同じ商品を同じ価格で販売すれば、

資金力や知名度の差が競争に影響します。

しかし、特定の顧客の困りごとに詳しい、

地域の事情をよく知っている、特定の分野なら柔軟に対応できる。

こうした強みがあれば、大手とは異なる価値を提供できます。

規模は小さくても、確かな需要があり、

利益を確保できる市場を見つけること。

そこに事業の可能性があると思います。

 

必要なのは「目の付け所」と「目利き力」

では、こうした市場や顧客のニーズを、

どのように見つければよいのでしょうか。

そこで重要になるのが、目の付け所と目利き力だと思います。

同じニュースを見ても、そこから何を読み取るかは人によって違います。

テレビ離れというニュースを見て、

テレビ業界全体が厳しいと考える人もいるでしょう。

一方で、BS局の広告費が伸びていることに気づき、

その背景にある番組づくりや顧客層の違いを調べる人もいます。

さらに一歩進んで、

「なぜ、この企画は視聴者に受け入れられるのか」

「どのように収益につなげているのか」

と考えることで、単なる情報収集が経営のヒントに変わります。

ただし、話題になっていることと、利益が出ることは別です。

顧客が本当に求めているのか。

競合はどの程度いるのか。

必要な費用を回収できるのか。

継続して利用してもらえるのか。

こうした点を見極めて初めて、

事業として取り組む価値があるかどうかを判断できます。

目利き力とは、珍しいものを見つける力だけではありません。

見つけた可能性を冷静に確かめ、

事業として成り立つかを判断する力でもあると思います。

自社の強みを、誰に届けるのか

BS局の取り組みから見えてくるのは、

必ずしも規模の大きさだけが競争力を決めるわけではないということです。

どのような人に届けたいのか。

その人たちは何を求めているのか。

そして、自社には何ができるのか。

この三つを考えることで、これまで見過ごしていた市場や、

新しいサービスの可能性が見えてくるかもしれません。

日々のニュースや身近な変化の中にも、経営のヒントはあります。

大切なのは、情報を知って終わりにするのではなく、

その背景を考え、自社に置き換えてみること。

何に着目し、どこに可能性を見いだすのか。

経営者の目利き力が、

これからの事業の方向性を左右するのではないでしょうか。