小さな本社-効率化を進める企業が考えたいこと

皆様こんにちは。

奈良市富雄の行政書士 松岡です。

 

皆様は100円ショップを利用されますか?

最近は100円ショップでも300円や500円などの商品を置いているところも

増えており、100円のものを買うつもりが

よく見ると100円ではなかったということで

カゴから出した経験もおありではないでしょうか?

 

今100円ショップ大手のセリアが注目されています。

原材料価格の上昇や円安など、

小売業にとって厳しい経営環境が続くなか、

セリアは税別100円を基本とする価格政策を維持しています。

他社が300円、500円といった複数の価格帯の商品を拡充するなかで、

100円均一という分かりやすさを強みにしているのです。

その背景には、商品構成の工夫だけでなく、

システムを活用した業務の効率化があります。

今回は、セリアの経営から、

コストを抑えながら利益を確保する仕組みと、

効率化を進める企業が考えておきたい課題について考えます。

100円均一を維持するための経営努力

物価高が続くと、消費者は日々の買い物でも価格に敏感になります。

そのなかで、価格が分かりやすく、

少額でさまざまな商品を購入できる100円ショップは、

節約志向の受け皿の一つになっています。

セリアの特徴は、100円均一を基本とする商品政策を

維持していることです。

価格帯が広がれば、商品の選択肢は増えます。

一方、100円という統一された価格には、

買い物の際に価格を細かく比較しなくてもよいという利点があります。

ただし、販売価格を据え置けば、

原材料費や物流費、人件費の上昇は利益を圧迫します。

価格を維持するためには、商品の仕入れや店舗運営など、

別の部分で経営努力を続けなければなりません。

セリアの強みを考えるうえでは、

100円という価格そのものだけでなく、

その価格を維持するための仕組みに目を向ける必要があります。

システムを活用して業務を効率化

セリアの経営で注目したいのが、

データやシステムを活用した業務の効率化です。

例えば、小売業では、商品の売れ行きを把握し、

適切なタイミングで発注することが重要です。

発注が遅れれば欠品につながり、

反対に仕入れすぎれば在庫の負担が増えます。

販売データや在庫情報を活用して発注業務を

システム化できれば、

担当者が一つひとつの商品を確認する手間を減らせます。

また、新店舗の出店を検討する際にも、

商圏人口や競合店などの情報を分析し、

売上や投資額を予測する仕組みがあれば、

資料作成や検討にかかる時間を短縮できます。

こうした取り組みに共通するのは、

担当者の経験や手作業に頼っていた業務を

データと仕組みに置き換えていくことです。

人を増やして事業を拡大するのではなく

同じ人数でも、より多くの仕事を処理できる体制を整える。

これが効率化の大きな目的です。

 

「小さな本社」が利益を生み出す

こうした効率化は、本部のあり方にも関係します。

店舗が増えると、発注管理や売上分析、店舗運営の支援など、

本部で担う仕事も増えていきます。

それぞれの業務を人手で処理していれば、

事業の拡大とともに管理部門の人員や経費も増えやすくなります。

一方、業務の標準化やシステム化を進めれば、

事業規模が大きくなっても、

本部の人員や管理コストの増加を抑えられる可能性があります。

こうした考え方は「小さな本社」と表現できます。

本部の規模を小さくすること自体が目的なのではありません。

定型的な業務を仕組みで処理し、

人が判断すべき仕事に時間を使えるようにすることが重要です。

セリアの場合、店舗運営や商品管理の効率化が、

100円均一を維持するための経営基盤の一つになっていると

考えられます。

小規模な会社でも、例えば請求書の作成、顧客情報の管理、

定型的な書類の作成など、

繰り返し発生する業務を見直すことで、

限られた人員をより重要な仕事に振り向けられる可能性があります。

効率化を進めすぎると、現場に負担がかかることも

一方で、業務を効率化すれば、すべての問題が解決するわけではありません。

仕組みを標準化するほど、通常の業務は進めやすくなります。

しかし、マニュアルやシステムでは対応しきれない事態が発生したときには、

別の課題が生まれます。

例えば、店舗で急な欠員が出た場合や、

想定していなかったお客様からの相談があった場合です。

本部の人員や支援体制に余裕がなければ、

現場の責任者が通常業務に加えて、

こうした問題にも対応しなければなりません。

また、発注や売り場づくりを本部の指示に沿って進める仕組みでは、

店舗ごとの事情を反映しにくくなる可能性もあります。

もちろん、こうした問題がセリアで実際にどの程度起きているかは、

別途確認が必要です。

ただ、効率化を重視する企業全般にとって、

考えておきたい課題といえるでしょう。

さらに、セルフレジなどのシステムも、

単純に人の仕事をなくすわけではありません。

操作に不慣れなお客様への案内や、機器のエラーへの対応など、

新たな業務が生まれることもあります。

大切なのは、作業時間が減ったかどうかだけでなく、

現場全体の仕事量や負担がどう変化したかを見ることです。

中小企業が効率化を進めるときに考えたいこと

中小企業にとっても、業務の効率化は重要な経営課題です。

人手不足が続くなか、すべての仕事を人の手で処理する方法には

限界があります。

ITツールやAIを活用し、定型業務を減らすことは、

事業を継続していくうえでも有効な選択肢です。

ただし、導入すること自体が目的になってしまうと、

かえって現場の負担が増える場合があります。

例えば、次の3点を意識してみてはどうでしょうか。

 

  • 繰り返し発生する業務から見直す。 毎月の請求処理や定型書類の作成など、時間がかかっている仕事を洗い出す。
  • 例外的な事態への対応を考える。 システムが止まった場合や、通常の手順では対応できない場合に、誰が判断するのかを決めておく。
  • 現場の意見を取り入れる。 経営者や管理部門だけで仕組みを決めず、実際に仕事をする人の意見を聞き、導入後も改善を続ける。

 

効率化によって生まれた時間を、顧客への対応や商品・サービスの改善、

新しい仕事の開拓などに振り向けられれば、

単なるコスト削減以上の効果が期待できます。

 

最後に

セリアの経営から見えてくるのは、価格競争力を維持するためには、

商品や価格の工夫だけでなく、

会社の運営方法そのものを見直す必要があるということです。

システムを活用して定型業務を減らし、

本部の管理コストを抑えることは、

利益を確保するうえで有効な方法です。

一方で、効率化を進めるほど、現場で判断する人の役割や、

予想外の事態に対応する余力も重要になります。

会社を強くするのは、単に人員や経費を減らすことではありません。

必要な仕事に人と時間を集中させ、

無理なく事業を続けられる仕組みをつくることです。

人手不足やコスト上昇に悩む中小企業にとっても

セリアの取り組みは、

自社の業務や組織のあり方を見直すヒントになりそうです。