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日別アーカイブ: 2026年10月7日

「支援を必要としているのに利用できない?」日常生活自立支援事業で増える待機者

皆様こんにちは。

奈良市富雄の行政書士 松岡です。

朝晩涼しくなって季節の移り変わりを感じます。

季節の変わり目は気温や日照時間の変化、気圧の変動から、

生活リズムや自律神経のバランスに影響を及ぼす可能性が高まり、

体調を崩すケースも少なくありません。

皆様どうぞお気を付けください。

 

さて、本日は「日常生活自立支援事業」についてのお話です。

高齢になり、認知症などによって判断能力が低下すると、

これまで自分でできていたことが難しくなる場合があります。

例えば、

・介護サービスを利用するための手続き
・家賃や公共料金の支払い
・銀行でのお金の出し入れ
・行政への手続き

などです。

家族が近くにいれば支えてもらえる場合もありますが、

一人暮らしの高齢者が増える中、「頼れる人がいない」というケースも

少なくありません。

こうした人を支える制度の一つが「日常生活自立支援事業」です。

 

日常生活自立支援事業とは?

日常生活自立支援事業は、認知症高齢者、知的障害者、精神障害者など、

判断能力が不十分な人が地域で安心して生活できるよう、

福祉サービスの利用や日常的な金銭管理などを支援する制度です。

厚生労働省によると、主な支援には、

・福祉サービスの利用援助
・日常的な金銭管理
・行政手続きなどの援助
・定期的な訪問による生活変化の把握

などがあります。

実施主体は都道府県・指定都市の社会福祉協議会で、

市町村の社会福祉協議会などが相談窓口となっています。

ただし、誰でも利用できるわけではありません。

判断能力が不十分であることに加え、

この制度の契約内容について判断できる能力があることなどが必要です。

つまり、本人との契約に基づいて支援する制度です。

 

支援を受けるまでに時間がかかるケースも

ここで気になるデータがあります。

日本経済新聞の記事によると、

全国社会福祉協議会が実施した令和7年度の調査によると、

社会福祉協議会側の事情によって、

「相談を受けてから1か月以上、初回面接に至っていない」ケースと、

「初回面接を行ったものの、社協側の事情で2か月以上契約に至っていない」

ケースの合計が3,931人だったことが分かりました。

令和6年度の2,868人から約1.4倍に急増しています。

これは単純に「相談予約が混んでいる」という話ではありません。

制度を利用したいという相談があり、

支援の必要性があるにもかかわらず、支援する側の体制の問題によって、

利用開始まで時間がかかっている状況です。

 

なぜ待機者が生まれるのか

大きな要因の一つが、支援を担う人材の不足です。

令和6年度の同じ調査では、日常生活自立支援事業のニーズに対して、

専門員が「不十分」と回答した社会福祉協議会は37.3%

でした。

さらに、実際に利用者のもとを訪問する生活支援員については、

49.4%が「不十分」

と回答しています。

制度を利用する人が増えても、相談を受け、本人の状況を確認し、

支援計画を作り、実際に訪問する人がいなければ、

制度を十分に機能させることはできません。

特に、金銭管理や福祉サービスの利用支援は、

一人ひとりの生活状況を確認しながら進める必要があります。

単純に「利用者が増えたから人を増やせばいい」というわけにもいかない

難しさがあります。

 

支援を待っている間に何が起こるのか

では、支援を受けるまで時間がかかると、

どのようなことが起きるのでしょうか。

例えば、お金の管理が難しくなっている人の場合、

家賃や公共料金などの支払いに支障が出る可能性があります。

福祉サービスの利用手続きが進まなければ、

必要な支援につながるまで時間がかかることもあります。

また、判断能力が低下している人が一人で生活していれば、

悪質商法や詐欺などの被害に遭うリスクも考えられます。

もちろん、待機者すべてにこうした問題が起きているわけではありません。

しかし、

「支援が必要になったとき、すぐに支援につながれるとは限らない」

という現実は、この制度を考えるうえで重要なポイントです。

 

これから、さらに支援が必要になる可能性も

ここで、もう一つ気になる動きがあります。

国は現在、日常生活自立支援事業そのものを含め、

身寄りのない高齢者などへの支援を広げる方向で

制度の見直しを進めています。

背景にあるのは、単身世帯の増加や、家族・親族だけでは

生活を支えることが難しいケースの増加です。

これまで家族が担ってきた役割を、

これからは地域や社会でどう支えていくのか。

この問題は、日常生活のお金の管理だけではありません。

入院するとき、施設に入るとき、そして亡くなった後。

家族がいない場合には、さまざまな場面で「誰が支えるのか」

という問題が出てきます。

実は2026年、この問題に関係する大きな制度改正が行われました。

次回は、2026年に成立した社会福祉法等の改正を取り上げます。

「身寄りのない高齢者」を社会全体で支える仕組みは、

これからどのように変わっていくのでしょうか。