民生委員の欠員が2万人超え 地域の支え合いは新しい形へ

皆様こんにちは。

奈良市富雄の行政書士 松岡です。

 

ここ数日は朝晩と日中の気温差が大きく服選びにも困るところです。

身体が気候の変化についていくのが大変…とおっしゃる方も多いかと思います。

体調には気を付けて、健康で楽しく毎日を送りたいですね。

 

本日は地域の民生委員のお話です。

高齢者の見守りや、子育て世帯の相談など、地域の暮らしを支えている民生委員。

困ったときに身近な相談相手となり、

必要に応じて行政や福祉の専門機関につなぐ役割を担っています。

ところが今、その民生委員の担い手不足が深刻になっています。

厚生労働省が公表した2025年12月の一斉改選結果によると、

全国の民生委員・児童委員の定数は24万971人。

これに対し、実際に委嘱された人は22万880人で、

欠員は初めて2万人を超えました。充足率は91.7%となっています。

前回の2022年の改選時には93.7%だったため、

3年間で2ポイント低下したことになります。

こうした状況を受け、厚生労働省は2027年度予算の概算要求に

関連経費2億1,000万円を計上し、

民生委員の確保に取り組む自治体への支援を強化する方針です。

 

なぜ民生委員の担い手が不足しているのか

背景には、地域社会と働き方の変化があります。

一つは、支援を必要とする人が増えていることです。

一人暮らしの高齢者が増えると、

日常的な見守りや生活上の相談が必要になる場面も増えていきます。

子育て世帯や障害のある人など、民生委員が関わる相談もさまざまです。

一方で、担い手を確保することは難しくなっています。

以前は、定年後の人や地域活動に参加する時間を確保しやすい人が、

民生委員を引き受けるケースもありました。

しかし、定年後も働き続ける人が増え、

地域活動に充てられる時間は限られてきています。

さらに、民生委員の活動は、高齢者への訪問だけではありません。

行政からの依頼への対応、会議や行事への出席、活動の報告などもあります。

地域の人の暮らしを支える大切な仕事である一方、

責任や負担が一人に集中しやすいことも、

担い手不足の一因と考えられます。

 

国も活動しやすい仕組みづくりへ

今回、厚生労働省が示している対策のポイントは、

単に民生委員の人数を増やすだけでなく、活動しやすい環境を整えることです。

具体的には、次のような取り組みが想定されています。

1.デジタル技術を活用して事務負担を減らす

タブレット端末の活用などにより、

活動報告や情報共有、会議のオンライン化を進めます。

移動や書類作成にかかる負担を軽くし、

仕事を続けながらでも活動しやすい環境を目指します。

2.協力員を配置して活動を支える

民生委員が一人ですべてを担うのではなく、

協力員が安否確認や地域の困り事に関する情報収集などを

支援する仕組みです。

3.複数人で地域を担当する

一人で担当区域を受け持つのではなく、

複数人で協力するチーム制も検討されています。

困ったときに相談できる相手がいることは、

心理的な負担の軽減にもつながります。

こうした取り組みは、民生委員を新たに確保するだけでなく、

現在活動している人が無理なく続けられる環境を整えるという意味でも

重要です。

 

民生委員だけに頼らない地域づくり

もう一つ考えたいのは、地域の見守りや生活支援を

民生委員だけに任せてよいのかという問題です。

例えば、高齢者の異変に気づくきっかけは、

民生委員の訪問だけとは限りません。

日頃から高齢者と接する介護事業者、地域包括支援センター、

社会福祉協議会、自治会、さらには日常的に地域を回る事業者なども、

異変に気づく可能性があります。

もちろん、それぞれに専門分野や役割があり、

個人情報の取り扱いにも配慮が必要です。

しかし、関係機関が必要な情報を適切に共有し、

困り事があれば相談先につなげられる仕組みがあれば、

地域全体で支え合うことができます。

また、自治体によって高齢者の割合や地域のつながり、

交通事情などは異なります。

全国一律の仕組みだけでなく、それぞれの地域の実情に合わせて、

誰が何を担うのかを考えていくことも必要でしょう。

 

これからは「誰か一人が担う」から「地域で支える」へ

民生委員の担い手不足は、

単に地域活動に参加する人が減っているという問題ではありません。

高齢化が進む一方で、働き方や家族のあり方、

地域との関わり方が変わってきたことを示しています。

これまでのように、地域の事情をよく知る人や、

時間に余裕のある人の善意に頼るだけでは、

制度を維持することが難しくなっているのかもしれません。

これからは、活動の負担を軽くすることに加え、

複数人で役割を分担すること、デジタル技術を活用すること、

行政や福祉関係者、地域の事業者などが連携することが

重要になります。

そして、地域を支える活動への参加も、

必ずしも一人が長期間にわたって責任を負う形だけである必要はありません。

短時間の協力や、得意なことを生かした参加など、

さまざまな関わり方が考えられます。

地域の支え合いを、特定の人の頑張りに頼る仕組みから、

無理なく参加できる仕組みへ。

民生委員の不足をきっかけに、

これからの地域福祉のあり方そのものを見直す時期に

来ているのではないでしょうか。