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日別アーカイブ: 2026年9月18日

人手不足時代に考えたい「仕事のしわ寄せ」の問題

皆様こんにちは。

奈良市富雄の行政書士 松岡です。

前回は、人手不足への対応として

「短時間で働く人を戦力として考える」

という企業の採用の変化について取り上げました。

これまで企業では、フルタイムで長時間働ける人を中心に

採用することが一般的でした。

しかし、人手不足が深刻になるなか、

週3〜4日勤務や1日6時間程度の「短時間正社員」など、

働く時間に制約がある人も戦力として考える動きが出ています。

一方で、働き方を柔軟にする企業が増えるほど、

もう一つ考えておきたい問題があります。

それは、「短くなった仕事の時間を、誰が補うのか」という問題です。

 

 

時短勤務の広がりで、別の社員に負担が集中することも

育児や介護などを理由に、残業を減らしたり、

短時間勤務を利用したりする社員は珍しくなくなりました。

こうした制度は、働き続けるための大切な仕組みです。

ただ、現場では「制度を利用する人が帰った後の仕事を誰がするのか」

という問題も起こります。

例えば、担当者が早く退勤することで、

その日の仕事を別の社員が引き継ぐ。

急な休みがあれば、別の社員が対応する。

出張や転勤が難しい社員が増えれば、

別の社員にその機会や負担が集中する。

こうしたことが積み重なると、

制度を利用していない社員に残業や業務が偏ってしまうことがあります。

最近は、こうした問題を「独身だから」「子育て中だから」

という個人の属性の問題として捉えるのではなく、

職場の仕事の分担方法そのものの問題

として考える必要性も指摘されています。

 

「お互い様」だけでは続かない

これまでは、職場で誰かが休んだときには、

周囲がカバーするという「お互い様」の考え方が

大きな役割を果たしてきました。

もちろん、助け合うことは大切です。

しかし、人手不足が続くなかでは、

一人が抜けるたびに別の誰かが残業して補う

という方法にも限界があります。

しかも、負担を引き受ける側にも、

それぞれの生活があります。

独身の社員であっても、

家族の介護をしているかもしれません。

自分の健康管理や通院、資格取得などに

時間を使いたい人もいます。

子育てをしているかどうかにかかわらず、

誰もが自分の生活と仕事のバランスを考える時代になっています。

つまり、「この人なら時間に余裕があるだろう」

と考えて仕事を寄せていく方法そのものが、

だんだん難しくなっているのではないでしょうか。

 

必要なのは「人を増やす」だけではなく「仕事を分ける」こと

ここで、前回の記事で取り上げた

「短時間で働く人を戦力として考える」

という考え方につながってきます。

短時間勤務の人を採用する場合、

単純にフルタイム社員の仕事を短い時間で

やってもらうだけでは、

うまくいかないことがあります。

大切なのは、仕事を細かく分けることです。

例えば、

*営業の一部を短時間勤務者が担当する

*書類作成やデータ入力を切り分ける

*SNSやホームページの更新を専門的に任せる

*顧客対応の一部を担当してもらう

*経験のある人に週数日の専門業務を任せる

といった形です。

仕事を細かく分けることができれば、

「フルタイムで働ける人を一人採用する」

という選択肢だけではなくなります。

そしてこれは、既存社員の負担を減らすことにもつながります。

 

人手不足は「採用」の問題だけではない

人手不足というと、「どうすれば人を採用できるか」

という話になりがちです。

しかし、これからはそれだけではなく、

「今ある仕事を、どのように分ければ、より多くの人が働けるのか」

という視点も重要になってくると思います。

短時間勤務を希望する人を採用する。

育児や介護をしながら働けるようにする。

そして、それによって別の社員に負担が集中しないようにする。

この3つは別々の問題ではなく、つながっています。

仕事を細かく分け、情報共有や業務の見える化を進めれば、

これまで一人の社員に集中していた仕事を複数の人で分担できる可能性もあります。

特に人材を集めることが難しい中小企業にとっては、

「長時間働ける人を探す」という採用だけでなく、

「限られた時間でも力を発揮できる仕事をつくる」

という考え方が、今後ますます重要になっていくのではないでしょうか。

 

「誰かが我慢する働き方」からの転換

働き方の柔軟化は、子育て中の社員だけのためのものではありません。

介護をする人、健康上の理由で長時間勤務が難しい人、

副業や学びの時間を確保したい人など、

さまざまな事情を持つ人が働き続けるための選択肢になります。

だからこそ、制度を利用する人と、

それを支える人を分けて考えるのではなく、

誰かの事情を別の誰かが無理をして

埋め合わせなくても済む仕事の仕組み

をつくることが重要になってきます。

前回の記事では、「時短で働く人も重要な戦力になり得る」

という採用側の変化を取り上げました。

その一方で、その働き方を本当に定着させるためには、

残った仕事を誰かに押しつけるのではなく、

仕事そのものを見直していく必要があります。

人手不足が続くこれからの企業にとって、

求められるのは「どれだけ長く働ける人を集められるか」

だけではありません。

「限られた時間で働く人を、どう組織の戦力として組み込むか」

そして、

「その結果、別の誰かに仕事が偏らない仕組みをどうつくるか」

この二つをセットで考えることが、

これからの働き方には必要になっていくのかもしれません。